約 2,287,803 件
https://w.atwiki.jp/yuriharuhi/pages/114.html
涼宮ハルヒSOS団、兼文芸部部室。会社の社長席のように配置された団長席であぐらを掻いていたハルヒはうなっていた。右手にはシャーペン、その下には紙が敷かれている。紙に書くのは今後の活動予定表みたいなもの。何を書くべきか思考をめぐらせ、トントントンとペン先でしきりに紙をつついていた。 「団長は活動内容とか資金繰りとか具体的な方針とか、考えることが多いのよ!」 一体、誰に話しかけているのか…おそらくは自分自身。それに対して返事をする者はいない。部屋の隅にはいつものように本の活字を目で追う長門。それと、今からメイド服に着替えようとハンガーラックに手を掛けるみくるがいた。 「こういう時は近くの問題から片付けましょ。今週の土日の活動について」 ハルヒはシャーペンを叩くようにパチンと置いた。 「ねぇ二人とも何したい?!」 さっきまでのはハルヒの壮大な独り言。で、今度は意見を求めている。 「え?…え、えーと」 「有希は?」 「…ない」 それを聞いてジトッとした目つきになるハルヒ。腕組みをして背もたれにもたれかかった。 「す、涼宮さん、そう焦っても出てきませんよ。とりあえずお茶でも淹れますね」 みくるはメイド衣装を引き出すと、着替えを急ぐためにセーラー服を脱いだ。 「あー、それ!」と、突然ハルヒはみくるを指差す。 「へ?」 「それそれ、その下着!新しいの買ったの?」 両方合わせてVの字にフリルの付いたブラジャー。確かに最近買ったもので、学校にしてくるのは始めてかもしれない…。と、いうか何故ハルヒがそんなことまでチェックしているのか。 「可愛い、可愛いわ!よく見せてっ」 いかにも良いもの見つけた!というように、笑顔を浮かべてみくるに歩み寄るハルヒ。一方みくるはおずおずと後退しながら嫌な予感を感じていた。 「うんうん、よく似合ってる。バストラインが綺麗だから下着も映えるわね」 しばらく鑑賞するように眺めると、ハルヒは両手で双の胸をすっぽり手のひらに収めた。 「ひゃぁあ!涼宮さんっ」 「だって、近くで見ると触りたくなるのよ。それより、この重量感とやわらかい感触!素晴らしいわ」 揉むように胸をフニフニと上下させるハルヒ。実に楽しそうにしている。 「有希ー!今日は特別サービス!有希にも触らせてあげるっ」 ハルヒはするりと背後に回り、みくるの腰に腕をまわして後ろからガッシリと抱き締める。 もはや逃げられない。長門は本から顔を上げてこちらを見ている。 「ひっ、やっ、長門さんまでっ!なんでですかぁー」 「暴れても無駄よ、みくるちゃん観念しなさい。ほらほら有希!早く!」 長門は机に本を置き、静かに歩み寄った。押さえつけられた涙目のみくるを見てから、笑顔のハルヒの顔を見る。「はい、いいわよっ」とハルヒの声。長門は片手を出すとゆっくり指でみくるの胸を撫でてゆく。その動きは胸の頂のところで止まった。「…ひっ」と短い悲鳴をあげるみくる。 「…なんか、あたしより有希のほうがエロティックね。意外な才能というか」 ハルヒは満足したのか、みくるをパッと離した。みくるはへなへなと座り込む。 颯爽と団長席に戻ったハルヒはシャーペンを握り、再び予定事項を書く紙に向かった。カリカリとペンを走らせる音が響く。 「喜びなさい!次のみくるちゃん主演の新作映画の趣向が決まったわ」 長門とみくるは同時にハルヒのほうへ顔を向けた。 「百合よ、百合!ガールズラブ。普通の恋愛モノじゃつまらないわ。みくるちゃんと有希でなら大丈夫よねっ。早速あたしは脚本に取り掛かるわ!」 一度走り出したら止まらないハルヒ団長は、どこまでも突き進む。パソコンからワープロソフトを起動させると、忙しくキーをたたき始めた。
https://w.atwiki.jp/haruhi_vip/pages/5118.html
文字サイズ小でうまく表示されると思います 涼宮ハルヒの誰時 お前は、俺をその名前で呼ぶな。 半眼で睨む俺を、朝倉は少し怒った顔で見つめていた。 「長門さんだったら、貴方をキョン君って呼んでも怒らないの?」 なんでここで長門の名前が出るんだ?それに第一、 長門は俺をその名前で呼んだ事はない。 突き放すように答える俺に、朝倉は目を丸くしている。 「え? そうなの?」 ああ、俺の覚えている限りはないな。 俺の言葉に、何故か朝倉は笑顔を浮かべる。 「そっかぁ、そうなんだ。へ~」 なんだよ。 何が気に入ったのかわからないが、不機嫌になったはずの朝倉は急に楽しそうにしている。 振り払われた手で、今度は俺の服を掴む朝倉は何か企んだ様な笑顔……つまりいつものハルヒの様な笑顔を浮かべた。 「怒らないでね?嘘をついてたわけじゃないんだけど、実は今の私には宇宙人的な能力はあるの」 な! 俺の言葉を朝倉の手が遮る。 「ストップ、最後まで聞いてよ?宇宙人的な能力はあるけど、それはスペック上での話。今の私を例えるならガソリンの無い車だと思ってもらえれば わかりやすいかな?涼宮さんによって再構成された私は本当に普通の高校生になったのではなくて、涼宮さんの意識の中にある普通の高校生としてしか 行動できない制約があったのよ。まあ同じ事だけどね。でも、涼宮さんが居ない今その枷はない。だけど統合思念体の存在も涼宮さんによって 無くなってしまったから、やっぱり今はただの高校生でしかないけどね」 小さく舌を出す朝倉に、俺はため息をつく。 わざわざそれを俺に言うって事は、他に何かあるんじゃないのか? でなきゃ言う必要もない事だろうに。 「正解。このまま普通の高校生として貴方と暮すのもいいかな?って思ってたけど。どうやら私にはまだやる事が残ってたみたい」 やる事? 俺を殺すとか言い出すんじゃないだろうな。 楽しそうな顔で朝倉は首を横に振る。 「ないしょ。それよりも貴方に聞きたい事があるの」 聞きたい事? 「そう。貴方は涼宮さんや長門さん、他の人達も含めて取り戻したいのよね?」 そうだ。 「結論だけ言うとね、長門さんから何か預かってたりしない?私が力を取り戻せれば、少なくとも貴方の望みを叶えるチャンスを作ってあげるくらいは できるはずよ」 何かってなんだよ。 「それはわからないわ。そうね、別に長門さんからじゃなくても何かこう、不思議な物とか持ってない?貴方にとってはただ不思議な物だとしても、 私にとっては力を使う為の鍵になる可能性はあるの」 長門や古泉、朝比奈さんから何か預かってないかだって?急いで考える中に浮かんで来るものといえば……そうだな。 長門から借りた本。ああ、駄目だあれは今朝本棚を見た時には無くなってたんだっけ。 朝比奈さんの私物……部室にあった衣装も何もかも無くなってたから思いつかないな。 古泉は駄目だ。あいつから何か受け取った覚えなんてない。 「よ~く考えてね。貴方の記憶を直接読み取れば早いんだけど、正直それだけの力も残ってないのよ」 そんな事されてたまるか。 ハルヒはどうだ?何かあいつが残した物はないのか……。 あいつの家がどこにあるのかなんて知らないし、今となっては調べようもない。部室は文芸部だった頃に戻ってしまってたよな。 教室は? 駄目だ、机も無くなってたんだった。 腕を組んで雑然とした部屋を歩き回る俺の脳裏に、何かが浮かび上がる。 なんだ、今のは? あれは……えっと、夏より前だった様な気がするぞ。 必死に記憶を辿っていく中で俺が辿り着いた答え、は。 カーテンの閉められた暗い部屋の中、モニターの小さな光が俺と朝倉の顔を照らす。 深夜の北高に忍び込んだ俺と朝倉は、元SOS団の部室……の隣、コンピ研に来ていた。 立ち上がったばかりの部長氏のパソコンのカリカリという小さな音と、俺の不器用なタイプ音だけが深夜の部室に響く。 「これがそうなの?確かにこれは涼宮さんの痕跡と言えなくはないけど……。残念、これはハズレよ」 モニターに映っているのはSOS団のウェブサイトだ。 いや、見せたいのはこれじゃない。 これを見せるだけなら別に深夜の校舎に不法侵入する必要はないんだ、ネット環境さえあればいい。 俺は手慣れた操作でキーボードを操作してURLを変更し、今日入力したばかりのパスワードを再び入力する。 切り替わる画面。 画面に編集機能と各種登録項目が表示され、俺はその中の一つ「画像登録」を選択した。 コンピ研の部長氏が閉鎖空間の様な物に閉じ込められた事件の原因となった、ハルヒの描いたあの画像。 長門が画像をいじってくれたおかげであの時は助かったんだったな。 無料レンタルウェブサーバーに登録済みの画像一覧には、長門改編によるZOZ団のシンボルマークがあった。そして、 「……ビンゴ」 朝倉が食い入るようにモニターを見つめている。 そこには確かに残っていたのだ、俺が最初に画像をTOP画面に張り付ける時、念の為名前を変えて保存しておいたハルヒの描いたあのSOS団の シンボルマークが。 いけそうか? 俺の質問に朝倉は嬉しそうに頷く。 「今の私でもこの画像から力を引き出すのは簡単よ。凄いじゃない、流石涼宮さんが選んだ人ね」 俺はパソコンデスクの席を朝倉に明け渡した。 ……なあ朝倉。 「なあに?」 俺に返事をしながらも朝倉は意味不明なコードをパソコンに打ち込み続けている。 知ってたら教えてくれ、ハルヒが俺を選んだのか?それとも、俺がハルヒを選んだのか? 不思議そうな顔で朝倉が俺を見つめる。 「それって何か違うの?」 そりゃあ違うだろ? なんていうか……俺はハルヒが神様みたいな存在だって聞いてたんだが、ここ数日色んな人から話を聞いている間にそうじゃないかもって思えて来たんだ。 「……そうね、貴方が涼宮さんに選ばれた理由は私にも統合思念体にもわからなかった。あの子が貴方を好きになった理由もね。でもね?女の子にとって 好きな男の子はみんな神様なの。自分が思う理想の存在であって欲しい、それこそ神様みたいな……。なんて、男の子は好きな女の子にそんな幻想を抱いたりは しないかな?」 どうだろうな。少なくとも俺の知っている神様って奴は、横暴で我儘で見てて落ち着く暇がないような奴だったが。 「あら、貴方がそんな女の子を望んでいた可能性はない?」 何故だろう、俺はそこで朝倉に何も言い返せなかった。 朝倉は朝倉で答えを聞くまでもないとでも言いたげに微笑み、沈黙させられた俺を無視してキーをタイプしていく。 「いい、この世界の涼宮さんは確かにもう存在しないわ。でも、完全に消えてしまった訳じゃないの」 場所は変わり、俺達は元SOS団の部室、現文芸部の部室の中に来ていた。 朝倉は窓際の長門がいつも居た場所に、俺はいつものパイプ椅子にそれぞれ座っている。 「今、涼宮さんは誰も居ない世界を作って一人で居るの。自分の思考も閉ざし、何も考えないまま一人で、ね。それを助けられるのは、この世界に多分 貴方しかいない。貴方が涼宮ハルヒの思考を取り戻せたら、私はこの世界に彼女を呼び戻してあげる。それからの作戦はこんな感じよ」 そう言って話し始めた朝倉の作戦って奴は無茶苦茶という言葉を体現するかのような内容だった。 言うなればお茶漬けを食べたいからまず粘土質の土を手に入れて、しかも空腹が始まる前に素材と食器を一式準備する……って所だろうか。 すまん、上手く言語化できそうにない。意志の疎通に齟齬が発生しそうだから忘れてくれ。 でもまあ、これだけで朝倉の作戦を理解できた奴がいたら素直に尊敬するぜ、古泉に代わって俺が一般人ではないってお墨付きをくれてやる。 「作戦は以上、質問はある?」 なあ朝倉。 「なあに?」 今更聞いても仕方のない事かもしれない、でも聞かないわけにはいかないよな。 何でお前は俺に協力してくれるんだ? 「何よ今更。でもまあ気持はわかるから教えてあげるね。私が貴方を手助けするのは、あくまで個人的な理由よ」 個人的な理由? 「そう、貴方に全く関係のない事ではないけれどね。今からする事は、貴方を殺そうとした事の罪滅ぼしだとでも考えていてほしいな?」 そう言って微笑んだ朝倉の姿が一瞬歪み、次の瞬間そこに居たのは。 朝倉より髪は短く、小柄で無表情な見覚えのある元文芸部の宇宙人。 なが……朝倉か。 「そう」 俺の言葉に朝倉は頷く。その声は聞きなれた宇宙人の声にしか聞こえなかった。 声まで長門そっくりなんだな 「でしょ?」 無表情だったその顔に、突然愛想がいい笑顔が浮かんだ瞬間確信した。中身はやっぱり朝倉だ。 「それじゃあ、今から貴方を涼宮さんの居る世界に送るわ。準備はいい?」 準備はいいが朝倉、眼鏡は外した方がいい。 「何それ、貴方の趣味?」 それもあるが、今の長門は眼鏡をしていないんだ。 「あ、そうなんだ。……これでいいわね。さ、目を閉じて。それと、私を呼ぶときはちゃんと長門って呼んでね?」 朝倉……長門の言葉が途切れるのに合わせたかのように俺の視界は前触れもなくブラックアウトし、体重を支えていたはずの床の感覚もなくなる。 それでいて落下するわけでもなく自分がどの向きを向いているのかもわからない時間を数秒体験したあと――最初に俺が感じたのは静かな風の音だった。 気がついた時、俺はやけに暗い場所に居た。 そこはどこまでも広がっているような果ての見えない暗い草原で、暗い空と草原以外は何も見えない。 ここはどこなのか? なんて考えても意味はないんだろうな。 現状を確認しようにも、俺の意識は確かにそこにあるというのに俺の体はそこにない、まるで夢の中の出来事みたいな感じだ。 見えている物にも、体が無いのに確かに感じる風にも何もかもに現実感が感じられない、何故だかわからないが俺はここに長く居てはいけない気がした。 「正解、あんまりこの世界に長居をすると普通の人間は精神が先に崩壊して廃人になってしまうから気をつけてね?」 朝倉、どこにいるんだ? 俺の思考に割り込むように聞こえてきた朝倉の声だったが、その姿はどこにも見えない。 「残念だけどその世界に私は行く事はできないの、涼宮さんが無意識で拒んでるからね。というよりも、貴方だけが許可されてるって言った方が正しいのかな」 じゃあハルヒはどこに居るんだ? 「涼宮さんは貴方の目の前に居るわよ。でも貴方がそれを見ようと思わなければ見えない、感じてみて?涼宮さんの事」 感じろったってどうすればいいんだ……。 いくら周りを見回しても、草原には何も無いようにしか俺には見えない。 「そこに居るって信じなければ見つけられないの、気づいてあげて?涼宮さんはずっと以前から貴方を待っていた。そのサインを貴方も知ってるはず」 俺が知っている……何のことだ? とにかく今は朝倉の言う通りにするしかないな。 ハルヒの事を考えて最初に思い出されたのは、入学式で俺の後ろで不機嫌な顔をしていたハルヒだった。 次に浮かんできたのは急に長かった髪の毛を切って登校してきたハルヒ。 ホームルーム前の時間を何気ない会話で、いつもつまらなそうだったハルヒ。 部活を作り出してから、急に笑顔が増えたハルヒ……。 次々と思いだされるハルヒの顔の中、俺は違和感を感じた。 親しくなって表情を増やしていく記憶の中のハルヒ中に、そこだけ急に不機嫌なハルヒがいる。 そのハルヒは何故か幼く、俺へ向ける視線には不信感が浮かんでいる。 あれは……あのハルヒは! 「私はここにいる」 どこからか、ハルヒの声が聞こえた気がした。 まるでその声に呼び寄せられるように、目の前にハルヒの姿が現れる。 何故か少し幼い感じのそのハルヒは北高校の制服ではなく私服を着ていて、じっと夜空を見上げていた。 つられて視線を上に向けると、そこには眩いほどの星空が広がっている。 「……誰か居るの?」 幼いハルヒが突然俺の方に顔を向ける。 姿は見えてないんじゃなかったのか? 俺は朝倉に聞いてみたつもりだったのだが。 「何、今の声。誰か居るの?出てきなさいよ」 そう言ってハルヒは辺りに誰か居ないか探し始めた。 どうやら俺の声は聞こえるが、姿は見えないらしいな。 いくら待っても朝倉は何も言ってこない。後は俺がなんとかするしかないか。 ハルヒ、お前なんでこんな所に居るんだ。 「え……何で私の名前を?もしかして宇宙人?」 少し違うが、まあそんな様な者だ。 俺の言葉に幼いハルヒの顔が急に笑顔になる。 「じゃあ未来人?それとも超能力者とか?まあなんだっていいわ、私に会いに来たのよね?そうなんでしょ?」 そうだ。「私はここに居る」ってお前のメッセージを見て俺はここに来たんだ。 「宇宙人語が読めるの?凄い、やっぱり居たんだ!」 俺にはお前が宇宙人語を書ける事の方が驚きだよ。ところで、お前はどうして俺に会いたかったんだ? 何か理由があったんだろ。 俺の言葉に、急にハルヒの笑顔が消えて悲しそうな表情が浮かぶ。 そのままじっと待っていると、ハルヒはゆっくりと呟きはじめた。 「とんでもない事をしちゃったのよ。あたしが信じてあげられなかったから大事な友達が消えちゃったのよ。全部、あたしのせいなの。 だから、本当に宇宙人が居るなら会ってみたかったの」 なるほどね。で、満足かい? 「そうね、もっと早く貴方に会えればこんな事にならなかったのに」 気が済んだならみんなの所へ戻ればいい。多分、お前が望めばそうなるはずだぞ? 「無理よ。……もうみんなには会えないし会えたとして誰にも許してなんてもらえない。勝手に巻き込んでおいて突き放して、しかも自分が好きな人だけ 独占したいから心から信じてあげられないなんて……本当、自分でも嫌になる」 そうかい。 「……なによ、そんな適当に。……どうせ他人事だもんね」 なあ、ハルヒ。 「何」 俺はな。お前を探して今も走り回ってる奴を一人知ってる。お前も知ってる奴だぞ。 「え?」 俺の知る限りそいつは不器用で特に取り柄もないただの高校生で、残念ながらお前が望んでる様な宇宙人でも未来人でも超能力者でもなく不思議とは縁遠い ただの一般人だ。でもな? ただお前に会いたいってだけで今も必死に探しまわってる。 「嘘……そんなの嘘よ、キョ……あいつはいつもあたしに振り回されて迷惑そうな顔してたもん!」 迷惑なだけだったら一緒になんか居ないさ。嘘なら嘘だと思ってもいい、それにまあお前が会いたくないと思えばそれっきりだろうさ。 でもな、例えお前が会いたくなくてもそいつは絶対にお前を見つけるまであきらめないぞ。例えお前に嫌われても、だ。 俺はお前にまだ言ってない事がいっぱいあるんだからな。 「え?」 ハルヒの目が大きく開かれる。 本当にそいつが好きなら告白でもなんでもすればいいさ、そいつもまんざらでもないかもしれないしな。 これからどうするかって答えはお前の胸にしかない、ここで一人残るって選択肢もあるかもしれない。でも俺はお前に戻ってきて欲しいんだ。 「駄目、これ以上は貴方がもたないわ。ごめんね?」 どこからか聞こえてきた朝倉の声と同時に俺の視界が少しずつ上昇していくのがわかる。 ええい、ハルヒを置いていけるかよ! 体なんてないが俺は必死にハルヒに向かって手を伸ばそうともがく。 その時俺の意識がある周囲が急に明るく光出し、真下に居たハルヒの体を明るく照らした。 戻ってこいよハルヒ、SOS団は不滅なんだろ? 光の中でハルヒが笑顔を浮かべて手を伸ばしてくる、実態が無かったはずの俺の手はその手を確かに掴んだ。 ハルヒ。……おいハルヒ! 机の上でつっぷしたまま眠り続ける団長さんの頭を、俺はわざと乱暴に揺らした。 そこにはあの俺好みなポニーテルは揺れていなかったんだが……。こうしてみると普段のこの髪形も可愛いもんだな。 窓の外は夕闇が近づいてきていて、部室の中は少し肌寒い。 数秒後、 「ふぇ……キョ、キョン?」 寝ぼけた声を出すハルヒの横を、長門がのんびりと通り過ぎていった。 その姿を見たハルヒは何も言えず目を見開いて固まってしまったが、長門はそれに気づかないふりをしたまま本棚へと歩いて行く。 いいぞ。ナイス演技だ朝倉。 長門の後姿を見つめながら心の中で俺は小さくガッツポーズをする。第一段階はクリアって所だな。 「え……有希? 消えちゃったんじゃ……」 消える? ……ハルヒ。お前、寝ぼけてるのか? 「え?え?」 混乱して俺と長門を交互に見比べているハルヒを無視して、長門は持っていた本を本棚へと戻して出口へと歩いて行った。 さあ、間違えるなよ? コンティニューはもう使ってしまったんだ。 長門、明日は9時に駅前だからな。休日だから間違って学校に来るなよ? ドアを開けた所で俺がそう呼びかけると、長門は振り向いて小さくうなずいて部室を出て行った。 扉が閉まる音と同時にハルヒが立ち上がる。 「明日が休日って……待って、ねえキョン。今日は何日で何曜日?」 今日か? ポケットから取り出した携帯に表示されているのは、金曜の文字と4日前の日付だ。 俺がやってる事は後で朝比奈さんに怒られる事なのかもしれないが、まあそれでもいいさ。 あの可愛らしい天使様にまた会えるんならそれくらいどうってことない。 顔いっぱいにクエスチョンマークを浮かべたハルヒを見ながら、俺は顔がにやけるのを止められなかった。 それは作戦が上手くいっているからってだけじゃない、またハルヒに会え……いや、やっぱり作戦が上手くいってるからだな。 まだ寝ぼけてるのか? ……まあいいか、なあハルヒ。実はお前に秘密にしてたんだが。 「な、なによ改まって。言ってみなさいよ聞いてあげるから」 まだどこか普段より大人しい雰囲気を残したハルヒだが、きっとこれには食いつく。そうでなければゲームオーバーだ。 俺はハルヒの両肩にそっと手をおいて、じっとハルヒの目を見つめた。 「ちょ……え、何? ……キョン?」 ハルヒの瞳の中で俺が大きくなり、そっとその瞼が閉じられようとしたその時。 実はな、朝倉がこっそりカナダから帰ってきてるらしい。 俺はそう呟いた。 ――刹那。 「なんですって!」 急に目を見開いたハルヒの手がすぐそばにあった俺のネクタイに伸び、途端に酸欠に襲われだした俺が笑顔だったのは何故だろうね? まだだ、まだ俺の出番は終わってない。 揺さぶられるまま俺は朝倉の台本通りのセリフを続ける。 しかも朝倉は、あのマンションの同じ部屋にまた住んでるらしいんだ。なのに北高には出てこない、何か変だと思わないか? 「キョン!そんな面白そうな情報を見つけたのに黙ってるなんて厳罰ものよ!」 言う事は物騒だが、ハルヒの言葉は楽しみで満ちていた。 おそらくこいつの頭の中では、誰も考え付かない様な展開が回りまわってるんだろうよ。 黙ってて悪かったよ、俺も古泉から聞いた時は信じてなかったんだが駅で偶然見ちまったんだ。間違いなく朝倉だったよ。 ――いい?涼宮さんが戻って来るまでに私は世界を4日前の状態に再構成しておくわ。そして私は、長門さんの姿で涼宮さんの前に現れる。貴方は涼宮さんを 誘導して「私と同じ方法」でみんなを復活させてあげてね。そうなるように私もフォローするから彼女の中の認識を変えて欲しいの。この意味、わかる?―― さて、世界を元に戻す魔法の言葉をハルヒに言わせないとな。 お前が寝てる間に明日はみんなで一緒に朝倉に会いに行こうって決めたんだが、それでよかったか? 俺の言葉にハルヒの顔が笑顔に綻ぶ。 「当たり前じゃない!SOS団創立時の謎がついに解き明かされるのね!あ~もう今から行きたい所だけどみんな帰っちゃったの?」 お前が起きないからだ。明日全員が集まれるように今日は早めに解散したんだよ。 「あんたにしては気がきいた行動ね。駅前に9時よね?い~い?絶対にきなさいよ!来なきゃ死刑だからね!」 「結局、この世界の朝比奈さんは何も知らないままだった様ですね」 その口調からすると、お前は全部覚えてるみたいだな。 家に戻った俺を待ち構えていたのは、営業スマイルを取り戻した超能力者だった。 いつもは小憎らしいその顔も、正直今は嬉しくて仕方がない。 「超能力者、ですから。……冗談です、協力者から全て聞いたんですよ。正直今でも信じられない程に驚いています。正に驚天動地ですね。 まさか数年先に起きると思っていた破滅が数日後に迫っていて、しかもただの人間にすぎない貴方が見事解決してしまうなんて。流石は涼宮さんが選んだ」 おい! お前今なんていった? 聞き逃せない単語を耳にして、俺は思わず古泉に詰め寄った。 「え、貴方が解決するとは驚いたと」 その前だ! 「貴方はただの人間に過ぎない」 そう、そこだ。俺はただの人間なんだな? 営業スマイルに不審げな表情を混ぜながら古泉は確かに頷いた。 「何をいまさら、以前も言いましたが貴方は普通の人間です。保証します」 ……この顔は嘘をついてるって感じじゃないな。って事はあの時の言葉はいったい……だめだわからん。何もかも無かった事になってるって事なのか? まあいいか。消去法で全部解明できるほど世の中簡単だったら、試験なんて余裕だよな。 夕食を終えて部屋に戻った時、まるで俺が部屋に戻るのを待っていたかのように携帯が鳴り始めた。 ディスプレイに映っている着信相手は……。 「ありがとう」 携帯越しに聞こえるその静かな声に、自然と笑みが浮かぶのを感じる。 それは間違いなく長門の声だった。 お前も全部覚えてるみたいだな。 「覚えている」 今回の事はあまりにも意味不明で、俺が完全に理解するには何年会っても足りないだろうな。だけどひとつだけ聞いておきたい事がある。 長門、やっぱりハルヒは明日SOS団を解散してしまうのか?みんなが消えてしまうのは避けられないのか? しばらくの沈黙の後。 「SOS団は解散されるかもしれない」 そっか。 やっぱり、これで全てが元通りってわけにはいかないか。 「ただ、現時点の涼宮ハルヒの力では時空改編や広範囲の情報操作は行えない」 なんだそりゃ? 「原因はわかっているが上手く言語化できない」 「ねえ誰からなの? あ、もしかしてキョン君? 代わって代わって!」 携帯電話越しに、何故か聞き覚えのある声が聞こえてきた。 「大丈夫すぐに代わるから、そんなにすねないでよ? ……もしもし、キョン君?」 長門に代わって聞こえてきたその愛想のいい声は、何故か朝倉だった。 なんでお前が長門の部屋に居るんだ。 「現状の確認と明日の打ち合わせよ。私が長門さんのそばにいると心配?なんなら遊びに来てもいいわよ」 辞退させてもらう。 その組み合わせは長門の世界で十分に体験してきたからな。 「残念。長門さんが代わって欲しそうだから簡単に伝えるね?」 ああ。 しかし長門が電話を代わって欲しそうにしているってのはどうも想像できないな。 「私が見てきた中でも今の涼宮さんの力はとても小さな物なの。今回みたいな大規模な情報の改竄ができたなんて信じられないくらいにね。だから何か起きても 私と長門さんでフォローしてあげるからキョン君は心配しなくていいよ。あ、ごめん。私はキョン君って呼んじゃいけないんだったよね?」 いや、好きに呼んでくれていいさ。 俺だってお前にはそれなりに恩は感じているつもりだ。 「長門さんが凄い睨んでるからもう代わるね? ……はい、そんなに怒らないでよ? ごめんごめん」 長門が……睨むだと?駄目だ、やっぱり想像できない。 数十秒後。 「……もしもし」 聞こえてきた長門の声が、携帯越しのせいかいつもより僅かに低い気がした。 長門か、大体の話はわかった。 「そう」 何故だろう、呟くだけのその返事がやけに冷たく感じる。 長門。朝倉が居たら話しにくい事もあるだろうし、今度遊びに行ってもいいか? 再び数十秒の沈黙の後。 「待ってる」 そう聞こえてきた長門の声は、携帯越しのせいかいつもより暖かい気がした。 長門との電話が終わった後、朝比奈さんに今回の事を伝えるべきかどうか迷ったが、結局俺は電話しない事にした。 これ以上、あの人に悩みごとを増やすようなまねはしたくない。 ただでさえハルヒに一番振り回されてるんだから、楽をさせてあげられれる所はそうさせてあげないとな。 と、思っていたのだが。 うおわ! 「きゃ! ごめんなさい?」 深夜の部屋の中、眠っていた俺の腹部に突然何かが降ってきた。 目を覚ました俺が見たものを、罰の悪そうな顔で見つめる眼差しと、口に触れるひんやりと冷たいその手の感触。 そして僅かに香る覚えのある大人の女性の匂い。 「……急に押しかけてごめんなさい。どうしてもすぐに貴方に会いたかったんだけど、中々チャンスが無くって」 驚く俺の目の前に居たのは、照れ笑いを浮かべる朝比奈さん(大)だった。 いや、だからといって深夜に男の部屋へ忍び込むのはどうかと……ってそれはとりあえずいいとして。何かあったんですか? 「はい。キョン君にお礼をしに来ました」 お礼? 「ええ」 って事は、貴女は今回の事を覚えているんですか? 俺は朝比奈さんに今回の事を話すつもりはないんだが、どうやって知る事になるんだろう?やっぱり禁則事項だよな、これ。 「私の存在が一度は消えてしまい。そしてキョン君のおかげで元に戻れた事も全部覚えています」 とは言っても、全部朝倉のおかげで俺は何もしてないんですけどね。 「そんな事ありません、私や長門さんや古泉君が今この世界に居られるのは間違いなく貴方のおかげなんです。誰もそれを覚えていなくても、 私が覚えていますから」 真剣な顔で近寄って来る朝比奈さんから逃れようにも、ベットの上で体を起しただけの俺はすぐに壁際に追い込まれた。 あの、その。そう言ってもらえるのは嬉しいんですが、そんなに近寄られると色々大変なんです。 部屋が薄暗くてよかったぜ、色々な意味で。 「あ、ご、ごめんなさい。それで、今回の事であなたに何かお礼がしたいんです。上官の許可も出ているので、あまり時間はありませんが 時間の流れに大きく関わらない事ならある程度の事はしてあげられます」 あの、その言葉をどう取ればいいんでしょうか? これが夢だと言われたらすぐに納得してしまいそうな展開に、俺は無意味に喉が渇いていた。 前にも気付かれないなら頬にキスしてもいいとか言っちゃってる人だからなぁ、二人っきりの時に貴女にそんな事を言われると妄想が止まらないんですが…… あ、そうだ。 こんなタイミングじゃなければ一生はぐらかされそうな質問があったじゃないか。 じゃあ、朝比奈さんお願いです。 「はい、何でしょう」 貴女の本当の年齢を教えてください。 俺の言葉に、朝比奈さんは見ていて微笑ましくなるほどに動揺していた。 それって、そんなに秘密にしなきゃいけない事なんですか? 「えー! ……うう。ぜ、絶対、絶対に内緒ですよ?」 そう言って、当たり前だが部屋には俺と朝比奈さんしか居ないのに彼女は俺の耳元に口を寄せて来た。 ……ってぇ! あなたそんな短期間でそんなお姿になってしまうんですか?! 翌日の朝、俺は昨日ハルヒに伝えた時間に丁度間に合う様に家を出た。 それはつまり、 「遅い! 罰金!」 こうなるよな。まあ予定調和ってやつだ。 大声で宣言するハルヒはいつもの全力スマイルで、隣に立つ朝比奈さんは困った笑顔。 古泉は古泉で営業スマイルだし、無表情に見える長門にも楽しそうな気配を感じ取れなくもない気がしなくもない。 どこまでもいつものSOS団、そしてどこまでもいつもの休日の光景。 ハルヒ、やっぱりお前に泣き顔は似合わないぜ。 そこにはもう、泣きながら叫んでいたハルヒの姿はなかった。 「キョン、あんた人の顔を見て何にやついてるのよ」 別に。いつも通りだから、じゃ駄目か? 「何よそれ? ああもうキョンにかまってたんじゃ時間がもったいないし罰金は後でいいわ、さあみんな準備はいい? 今から朝倉涼子を捕獲しに行くわよ!」 結局、俺が神様みたいな存在なのかハルヒが神様みたいな存在なのかはわからないままだ。 だがまあそれでもいいさ、俺達のどちらかが神様みたいな存在だったら、もう一人はそれを見守ってればいい。 そうすれば、いつまでも一緒に居られるだろ? な、ハルヒ。 涼宮ハルヒの誰時 終わり
https://w.atwiki.jp/haruhi_vip2/pages/5097.html
年が明けて初詣やらなんやらでドタバタしていたが、もとの生活ペースに戻ろうとしているこの日 俺は親戚からのお年玉でPSPを買った。色は黒で最新型のアレ ソフトはモンスターハンターってやつかな よく分からないが「大人気」と書いてあったし一様糞ゲーでは無いだろう そういえば北校に持っていってよいのだろうか?北校はPSPの持込でいいような感じだし まぁ岡部らに見つからないようにすればいいか 始業式 新年早々一番ブルーな行事 こーちょーの話をだらだら聞かされるしな 楽しみと言えばあの元気な少女に会えることだろうな などと思いながら北校へハイキングコースを上っていた。 「よう キョン あけおめだな」谷口だここは返事しておくか「ああ谷口 あけおめ」 「そういえば俺ナンパ成功したぜ!まぁお前は涼宮が居るけどな」 ムカつく野郎だ。でもどうせ一週間程度で別れる運命さ谷口よ 「そうですかい・・・」 「じゃあ俺 自慢してくるから先行ってるぞ~」 教室に着くとハルヒが居た。 「ようハルヒ あけおめ~」 するとハルヒは睨んできた。 「キョン! 団長様に向かってその態度は何よ!」 年越し一回目のコイツの言葉はそれかよ・・・やれやれ 「へいへい あけましておめでとうございまーすっ」 「よろしい」 疲れる奴だな その後俺は席に着きPSPを取り出し電源を入れた。 「キョン!あんたもそれ買ったの?」 HIT!・・・・え?あんた・・・も? じゃあハルヒも 「ハルヒお前もPSP買ったのか?」 「そうよ!」 まぁ今話題のゲーム機だしな・・・ 「で ソフトは?」 と俺が言っている間にハルヒはカバンに手を入れてPSPを取り出した。色は白だ 「モンハンよ」 じゃあ通信できるな・・・ 「俺もモンハンだぞ」 「ええ?嘘!じゃあ部活の時通信しましょ! でもハルヒはHRが最大じゃあないのか? _________________________________________________________________________ 一時完 この後書いてくれたら嬉しいな モンハンを知っていたら だいたいのストーリー ハルヒがモンハンが気に入りSOS団を閉鎖空間に閉じ込める その閉鎖空間はモンハンと同じ世界だった。 朝比奈がいる未来はMH6などが大人気でモンハンを知っている ---- ---- ちょっと書かせてもらった。 さて、そんな心配は杞憂だったようだ。 授業も終わり、我らがSOS団部室へ向かい、通信を開始した俺達だったが。 「ちょっとキョン!なにやってるのよ! って、あ~~!!」 これで三回死んじまったな・・・。 画面にはクエスト失敗を告げる文字が悲しく映っている。 第一、俺もハルヒも買ったばかりの初心者だったというのに アレは無理があったんじゃないか? 数分前、俺が集会所へ行くとハルヒが既にクエストを受注していたようだった。 えーと、なになに《☆☆☆ 砂に潜む巨大蟹!》 って、☆3かよ!二人とも初心者なんだから、こういうのは一番最初からだな・・・。 「何いってんのよ!こういうのは強いのを倒すからこそ面白いんじゃないの!それにあたしとキョン、二人いるんだからそうそう負けるはずがないわ!」 というハルヒのお言葉により、狩猟へ向かったわけだが・・・。 「もう!なんで死んじゃうのよ! もっとしっかりしないさいよね!」 お前だって一回死んだだろうが。それに、お前の攻撃方法はなんなんだ?あれ。 殆ど溜め切りしか使ってなかったじゃないか。 「うるさいわね!武器といえば威力なのよ威力! あんたみたいな非力な武器は使ってられないわ!」 そう、ハルヒはどんな状況でも溜め切りを使おうとしていたのだ。 おかげで何回も吹っ飛ばされていた。 結局ほとんど攻撃していたのは俺だけだったじゃないか。 まぁ、村長からもらったお金しかなくビンを買えなかったので、非力だったことは否めないが・・・。 ちなみにもうお分かりかとは思うが、俺は弓、ハルヒは大剣だった。 「とにかく!もう一回いくわよっ!」 おいおい、せめてランクを落とすとか、そういう考えはないのか?こいつには。 せめてクエストは変えようぜ?マフモフで砂漠へ行くのはどう考えても無理がある。 なんてことを考えつつハルヒに進言しようとしていると 「おや、二人とも早いですね。 それは何をしているのですか?」 「あら、古泉くん。 モンハンよモンハン!もしかして古泉くんも持ってたりしない!?」 「いえ、残念ながら。結構有名ですから知ってはいますけどね。涼宮さんがしているのは意外でしたが。」 「そう・・・まぁいいわ!ほらキョン!早くきなさい!」 やれやれ・・・結局同じのに挑戦か・・・。 「まぁ、いいじゃないですか。中々優秀な防具が作れますよ、ダイミョウサザミは。」 って、古泉。お前持ってないんじゃなかったのか?それに、なんで小声なんだ。しかも顔が近いぞ。 「おっと、失礼。いや、僕も持っているのですけどね。 あなた達が始めたばかりのようでしたので。明日新しく買ったふりをして持ってこようかと思っていたのですよ。」 なんでわざわざそんなことを・・・。即戦力が入ったほうがハルヒだって喜ぶだろうに。 「涼宮さんはそんなに簡単な勝利は望んでいませんよ。苦労し、試行錯誤して勝つ。その達成感こそが喜びになるのです。」 なんだかよくわからんが・・・。ということは明日からはお前も参加できるのか。 「はい、そういうことになりますね。 どうぞよろしくおねがいします。」 なんだかこのまま行くとSOS団全員でやることになりそうだな・・・。 朝比奈さんがモンハン・・・駄目だ、想像できん。 長門はものすごい技量を発揮しそうだが・・・。 「おっと、始まりますよ。」 ああ、そうだな。やるとするか。 結局、その後三回ほど挑戦したが一度も勝てなかった。 しかし、古泉が言っていたことは本当らしいな。 負け続けて悔しそうにしてはいたものの、閉鎖空間は一度も発生しなかったようだ。 この日、朝比奈さんは普通にお茶をいれてくれていたが、なんだかそわそわしていたようだった。 そしてなにより一大事なのが 「今日は用事がある。」 とだけ言い残して長門が来たとたんに帰っていったのだ。 しかし長門のあのときの顔はこう・・・若干疲労しつつも諦めたような顔だった。 そんなことを思っていたので、部活が終わって早々、俺は長門に電話をかけてみようと・・・ 思ったのだが向こうからかかってきた。 これは宇宙的事件の始まりか・・・と少しばかり緊張して通話ボタンを押すと 「今から26分後、大規模な世界改変が行われる。 情報統合思念体は総力を尽くして対処したが、涼宮ハルヒの勢いはとめられなかった。」 どういうことだ?というか、そんな悠長にしてていいのか? 「今回の世界改変は至って特殊。大きな改変には違いないが、涼宮ハルヒの興味が強くなりすぎたため行われる。よって、その興味が失せていけば次第に解決されると思われる。」 そのとき、俺はピーンときたね。 ハルヒがそこまで興味を持ったもの、そんなもの一つしかない。 だとすれば、俺たちは今からその世界へ放り込まれるわけで。 俺は不安というよりは若干の楽しみを感じていた。 だってそうだろう?男なら一度はファンタジーの世界へといってみたいと思うもんさ。 長門、状況は理解できた。 「そう」 ところで、お前モンスターハンターは知っているか? 「知らない」 だろうな。いいか、モンハンというのはハルヒが興味をもったゲームソフトだ。 「ゲームソフト?」 ああ、コンピ研の時やったものがあるだろう?あれがゲームだ。 そして今から俺たちはその世界へといくんだと思う。 まさか俺が長門に説明する日がくるとはね・・・。 ってことはあれか、色々準備しなきゃいけないのか。砥石とか。 「理解した。ただ、一つ問題がある。」 なんだ? 「今の話を情報統合思念体に報告したところ、一つわかったことがある。」 結論? 「そう、そのモンスターハンターというゲームの内容にそって改変されるとしたら、私の情報制御能力は消滅する。」 それはまた・・・しかし、なんでだ? 「私の能力はそのゲームでいうところのチート行為に値する。」 なるほど。・・・ってことはあれか。長門の力は今回は期待できない、と。 「そうなる。ただ、私自身の能力は低下しない。」 そうか。 なら、大丈夫じゃないか。あれだけの運動神経の持ち主だ。 「そう。」 まぁ、ハルヒが飽きるまでモンハンの世界になるってだけだろ? 今までなら驚きだが、もう余裕を持って対処できるね。 これから数週間、中々に面白い日々が待ってそうだ。 「・・・今から、改変が始まる。」 そうか。よし、どんとこい。 「50秒前」 「20秒」 「3.2.1.」 俺の意識は暗転した。 ・・・雪山? というか、すごく寒いぞ・・・。 そうか、改変されたのか・・・。 でもなんで雪山なんだ・・・? いや、ちょっと待てよ・・・。 ゲーム開始時の雪山なんてイベントは決まってるだろ・・・。 いやいやいや、まずい。非常にまずい。 まぁ、主人公は助かってたんだ。俺も助かる・・・よな? なるほど、主人公。気持ちがよくわかったぜ。 いきなり頭上が暗くなった・・・。 なんつーか・・・でけえなあ、ティガレックス。 ----
https://w.atwiki.jp/yuriharuhi/pages/44.html
「そういえば有希の誕生日っていつなの?」 いつものように集まった喫茶店の席で、思い出したような顔でハルヒが聞いた。 長門は手元の分厚い本から目線を上げ、不思議そうな表情で団員それぞれの顔を見たあと、 ハルヒを見つめて固まってしまった。 「どうしたんだ?突然」 「やっぱり団長たるもの団員の誕生日くらいは祝ってあげないとね」 ハルヒは有難がれとばかりに胸を張っている。 俺の誕生日は知らんくせに。 「で、いつなの?過ぎてからではお祝いのしようもないからね」 続けられた質問に、長門はきょとんとした無表情のまま俺のほうに顔を向ける。 「どうすれば」と言わんばかりに。 そう言われてみると、長門の誕生日はいつになるのだろう。 厳密に言えば3年前の情報フレアとやらの日なんだろうが、それじゃこいつは3歳ということになってしまうしな。 まぁ誕生日なんて調べてわかるもんでもないだろう。 適当に決めちまえばいいさ。 ながとだから7月10日とかね。 産まれた日がいつかなんてハルヒも気にしやしないさ。 そんな風に考えながら笑顔を向けてやると、長門はわかったとばかりに数ミリだけうなずいて、ハルヒに向かって 「今日」 と告げた。 おいおい、お前の誕生日が何月何日でも誰も迷惑しないが、今日ってのはないだろ。 突然すぎるぞ。 しかし、言ってしまってはもう遅い。 ハルヒはテーブルに勢いよく手をついて立ち上がると、 「何で言わなかったのよ!?有希?」 店内に響き渡る声でツバを飛ばしながら叫んだ。 朝比奈さんまで 「そうですよー」 なんて言って困った顔をしている。 あなたは気付いてください。 それは長門が今設定した誕生日ですよ。 古泉は古泉で、 「プレゼントを用意していませんね」 などと肩をすくめて微笑んだ。 お前は芝居がかりすぎだ。 「そうよ!プレゼント!準備してないじゃない!」 ハルヒは立ったまま続け、 「有希、今欲しいものある?」 テーブル越しに、こればっかりは優しい口調で問いかけた。 「今日は有希の誕生パーティに変更するわ!さぁ、なんでも好きなものを言っていいのよ」 長門はやっぱり無表情のまま…それでも考えるような仕草をわずかに見せて、 「遠慮することないのよ」 と微笑みかけるハルヒの胸のあたりに視線を止めた。 「え?何?」 俺も興味があった。 ハルヒを見つめる長門が、何を欲しいと言い出すのか。 真っ黒な瞳が少しだけ動き、「いいのか?」と問うようにハルヒの顔を見上げて、 「洋服」 「…服?」 長門が見ていたのはハルヒの体ではなく、着ている布のほうだった。 「いいわ!有希、思いっきり可愛いの選んであげる!」 ハルヒは、先ほど驚いたときと同じ様に机を叩いて立ち上がり 長門の好みを問いただし始めたが、長門の視線はハルヒの胸あたりに固定されたまま動かない。 何かを言いそびれたように、俺には見えた。 「涼宮さん」 長門の表情を読もうとしている俺の向かい側に座っていた古泉が口をはさむ。 皆の顔が自分のほうに向くまでゆっくりと間をつくってから 「僕が思うに、長門さんは今涼宮さんが来ているそのカーディガンが欲しいのではないでしょうか。違いますか?」 微笑みたっぷりで妙なことを言いやがった。 確かに、長門の視線はそこに止まっていると言えなくもないが… 「そうなのか?長門」 重金属みたいな瞳がゆっくりとこちらを向いた。 「そう」 わずかに顎を引く。 「許されるなら」 そう言ってその瞳は、俺から視線をはずしてハルヒを見上げた。 その時俺は真っ白い能面みたいな無表情の中に、 小動物が抱いてくれと懇願するときの様な、そんな雰囲気を感じとった。 「そりゃいいけど…。お古でいいの?サイズもちょっと大きいかもよ」 若干照れながらハルヒは着ていたカーディガンを脱ぎ、顔の横で示すように広げた。 長門はそれを肩から先だけ動かして受けとると、確かめるように胸に抱き締めた。 「あなたが着ていたという事実が大切」 横で朝比奈さんが顔を真っ赤にして口元を押さえている。 俺も少し赤くなっていたかも知れないが…。 誰より赤面していたのは、他でもない、ハルヒだった。 次の週末、いつもの駅前には珍しく私服の長門がいた。 少し大きめの白いカーディガンの袖口から、生地よりもっと白い指先だけが見えている。
https://w.atwiki.jp/haruhi_vip2/pages/3480.html
涼宮ハルヒの感染 プロローグ? 涼宮ハルヒの感染 1.落下物? 涼宮ハルヒの感染 2.レトロウイルス? 涼宮ハルヒの感染 3.役割 涼宮ハルヒの感染 4.窮地 涼宮ハルヒの感染 5.選択 涼宮ハルヒの感染 6.《神人》 涼宮ハルヒの感染 7.回帰 涼宮ハルヒの感染 エピローグ
https://w.atwiki.jp/haruhi_vip2/pages/2691.html
何かおもしろそうな事はないかと思っていつものように校内を探索していると、キョンがそわそわした様子で周りを気にしながら校舎裏の方へ向かっているのを見かけた。 なにやってるのかしら。柄にも無くコソコソしちゃって。でも面白そうね。 ちょっと追いかけてみましょう! 探偵のまねごとをしているような気分でわくわくしながら尾行していると、キョンは早足で体育倉庫の横を抜けて南庭へ入って行った。 怪しいわね。キョンのくせに、団長である私に隠し事なんて100万年早いわ。 校舎の陰にかくれるように歩いていくキョンを、私は体育倉庫の壁に背をつけて窺っていた。 キョンと待ち合わせをしていたのか、ケヤキの木の陰にいた人物が怯えたふうに現れた時、私は正直いってかなり動揺したわ。 なんで、キョンとみくるちゃんがこんなところでコソコソ密会してるの? 話があるのなら部室ですればいいのに。 周囲をはばかる2人の態度や校舎裏の待ち合わせという、ある意味ベタな状況の連想させるイメージが脳裏によぎり、私の動悸がはげしくなる。 まさか……。そんな、ありえないわよね。2人に限って。 でも、考えてみれば思い当たるふしはあるわ。キョンは普段から、見るからにみくるちゃんにゾッコンいかれてるようだったし、みくるちゃんも、何か困ったことがあった時に助けてくれるのはいつもキョンだったわけで。 お互いが想いあってても、まったく不思議はないわね。 え、ウソ? マジで? 私が見てるとも知らず、キョンとみくるちゃんはケヤキの下で向かい合って話をしている。 距離があるから何を喋っているのかは分からないけれど、みくるちゃんがうつむいてモジモジしてるのは分かるわ。 秘密の密会。互いに好意を抱く男女が2人。甘い空気。 話が聞こえなくても、9割方なんの会話をしてるのかは想像できる。私だってそんなに鈍くはないつもりだもの。 でも私は、残りの1割の確率を信じていた。きっと何か急いで伝えなければならない用件ができたけど周囲の人に聞かれてはマズイ内容だから、メールで誰もいない校舎裏に相手を呼びだしたんだわ。きっと。 そうよ。2人はただの極秘の事務連絡をしてるだけに違いないわ。まったく。団長である私に黙って勝手な行動とって。 そう信じたかった。 理由はどうあれ他人のプライバシーを覗き見してるんだから良心は咎めるけれど、なんだろう、この気持ち。 さびしさと焦燥感とイライラと後ろめたさをまぜ合わせた、しびれるような感覚で足が震える。 そしてとうとう居ても立ってもいられなくなり私は、みくるちゃんが涙目でキョンに抱きついたのを見て駆けだした。 いやだ。もう。こんなところに居たくない。 文芸部の部室にも行かず教室に鞄をとりにも戻らず、私は学校を飛び出した。 学校を飛び出した私は、その足で飛行機に飛び乗った。とにかく遠くへ逃げたかった。距離が遠のいたからって問題が解決するわけじゃないけど、少しでも遠くへ逃げたかった。 フライトの前からずっと泣いていた私を不審がるスチュワーデスの声を全て無視し、私はいつしか疲れて眠りこけていた。 ショックだった。何がショックだったって、今まであまり意識したことはなかったのに、予想以上に自分がキョンに惹かれていたことが明確に分かり、衝撃を受けていた。 でもそれも昨日まで。今日から私は、このインドの地で生まれ変わるの。今までの自分をガンジス川の流れに投げ捨て、生まれ変わるの。昔のことは全て忘れるわ。 悠久の歴史あるこのガンジスのほとりで、涼宮ハルヒは再誕するのよ。 インドに来てしばらくは無気力に暮らしていたけど、いくら物価が安いからっていつまでも遊んでは暮らせないわ。それに退屈だしね。 すぐに私は職を手にした。インドといえばカレーでしょ。 料理は元々得意な分野だったけど、インドで本格的にカレーの修行をしてみて分かったことがあるわ。それは、私がカレー職人に向いているってこと。自分でもビックリしたわ。 インドに来て1年で、たちまち私はインドのカレー業界に新星現るといわれるまでに成長してた。 私の働く店では、連日長蛇の列が軒先に並んでいる。もちろん、みんな私のカレー目当ての客ばかり。これはもうインドカレーの頂点を極めたと言っても過言ではないわね。 これ以上インドでカレーについて学ぶことが無くなった私は、ビザの期限を延長することなく日本に帰国した。 日本か。なにもかもが懐かしいわ。 思えば1年前、私はキョンとみくるちゃんが校舎裏で抱き合っているのを目撃してしまい、過去を捨てるためインドに渡ったんだったわ。 今更復学するつもりも毛頭なかったから、私はインドでならした腕とノウハウをもってカレー専門店に就職したわ。学歴なんてなくたって、私にはインドのカレー業界新人No.1の実績があったからね。 ハルヒ「有希!?」 長門「………ひさしぶり」 ハルヒ「あなた、ここで働いてたの?」 長門「………そう。正確には、アルバイト」 ハルヒ「偶然ね。有希と会うのも、1年ぶりかしら。元気にやってる?」 長門「………まあまあ」 ハルヒ「そう。それはよかったわ。日本に帰ってきたばかりで不安もあったけど、有希と一緒なら百人力よ。よろしくね!」 長門「………よろしく」 長門「………お客さん。いらっしゃいませ」 ハルヒ「いらっしゃ……げっ!」 ハルヒ「キョ、キョン…! それと古泉くん。よりによってあの2人が客なんて…」 長門「………私は洗い物がある。接客はまかせる。水を持って行って」 ハルヒ「わ、私が!? う……どうしよう。顔、合わせづらいわね…」 1年前のあの日、キョンのことはもうキッパリ潔く忘れたつもりだったけど、さすがに面と向かって会って話をするのは気が引けるわ。 でもこれは仕事なんだし、客が昔好きだった人だから接客したくないなんて言えないわね。 仕方ない。変装していくしかないわね。髪を三角巾でまとめてメガネをかけて、口の両頬にティッシュを詰めて輪郭をごまかせば私が涼宮ハルヒだとはバレないはず。 「いらっしゃいませ」控えめにそう言って水をキョンと古泉くんのテーブルに置いたけれど、2人は真剣な顔で話をしてて私には気づかなかったみたい。 キョン「まったく。もう1年だぜ。あいつがいなくなって。無事なら連絡のひとつでもよこせってんだ」 古泉「八方手を尽くして探してみましたが、見つかりませんからね。もしかしたら、もう日本国内にはいないのかも知れませんよ」 キョン「そんな馬鹿な。いくらあいつの行動力が群をぬいていると言っても、理由も伝言もなしに突発的に外国へ行くわけないだろ」 古泉「本当に。どこへ行かれてしまったんでしょうね。我らが団長様は」 キョン「ハルヒが俺たちに居場所を知られたくないと願っているから、依然長門にも所在地は割り出せないらしいし。お前んところも無理なんだろ?」 古泉「ええ。いかに機関の情報網が優れていようと、神の意思には逆らえません」 ひょっとして2人とも、私のことを話してるの…? なんか、うれしいな。今でも私のことを気にかけててくれたなんて。 でもごめん。今はまだ、2人の前に顔を出す心の準備ができてないから。そうだ。後で有希に私のことを秘密にしておくよう口止めしとかないと。 カレー専門店で有希と一緒に働き始めて1週間が過ぎた。第二の故郷であるインドも好きだけど、やっぱり生まれ育った日本はいいわね。 そろそろ日本の暮らしにも慣れはじめてきた、というより勘をとりもどしてきた私は、今日も清々しい気分で店へ出勤し、タイムカードを押した。 キョン「ハルヒ!」 ハルヒ「キョ、キョン!? なんでここに……?」 長門「………」 ハルヒ「有希……あなたまさか、私のことキョンに喋ったの!? 私がここで働いてるってことは内緒にしといてって、約束したのに!」 キョン「長門には俺がずっと頼んでたんだ。お前を見かけたら、どんな小さな情報でもいいから教えてくれって」 ハルヒ「うそ……嘘よ! 有希が、私を裏切ったっていうの!?」 長門「………」 古泉「それは違いますよ、涼宮さん。長門さんもこの1週間悩んでいたんです。ですが、やはりこうした方がいいと判断されたから、僕たちにあなたのことを教えてくれたのです。あなたにとっても僕らにとっても、これが最良の ハルヒ「信じてたのに……SOS団の中でも、有希だけは私の味方だって思ってたのに……」 キョン「それはどういう意味……おいハルヒ、待て!」 ハルヒ「帰ってくるんじゃないかった! またこんな思いをするくらいなら、一生インドでカレーを作ってたらよかったのに!」 ハルヒ「もう誰も信じられない。他人なんて信じない!」 みんなの制止をふりきって、私は店を飛び出した。 1年前のあの日の再現だった。信じていた人に裏切られて、傷ついて、逃げ出す。 信じてたっていっても私が一方的にそう思い込んでただけで、みんなは私のことなんてどうとも思ってなかったんだろうな。抱き合っていたキョンとみくるちゃんも、キョンの味方をする古泉くんも、私との約束を破った有希も。 分かってる。誰も悪くなんてないんだって。私が勝手に、そうあってほしいと願うSOS団員像のイメージを、みんなに投影していただけだから。 そう悟ったから私は、もう誰にも期待しない。誰も信じない。 もう二度と、私の期待を反故にされて傷つきたくないから。 キョンたちの前から逃げ出して2週間。私は手持ちのお金でチェーンソーを買い、山にこもっていた。 県道からはずれて1時間近くうっそうとした山道を登った小さな集落が新しい私の居場所だった。ここでの暮らしは楽でいい。 そこでの仕事は、杉の木にチェーンソーの刃を入れ、斧で裂け目を砕いて倒す。そして倒木をみんなで運んで日当をもらう。いわゆる木こりをしながら生計を立てていた。 ここでは木を切る時以外に他人と接点をもつことはない。仕事以外のことで誰にも期待しなくていい。だから傷つくこともない。 なにも考えなくていい。 ~涼宮ハルヒの逃避行・その②へつづく~
https://w.atwiki.jp/haruhi_vip/pages/1684.html
今、俺達SOS団の面子は全員俺の部屋にいる。 ハルヒ「ちょっとキョン!?あんたマジでTVゲーム機を64とスーファミしか持ってないわけ!?」 キョン「しょーがねえだろ。金ねえし」 ハルヒ「ゲームキューブ…ましてやプレステすらないなんて…あんたセンスなさすぎ、ってかダサいわよ!!」 こいつは今の俺の金がないという言葉を聞かなかったのか キョン「お前にいっつも奢られてるせいで金がないんだ。それ以上でもそれ以下でもない」 ハルヒ「あんた私のせいにするつもり!?責任転嫁もいいとこね。あんたが早く来ればいいだけのことなのに」 それができねえから苦労してんだよハルヒさん ハルヒ「まあいいわ、64で我慢してあげる。カセットはどこにあるの?」 キョン「そこのタンスの中にある」 それを聞くと、早速ハルヒはプレイするカセットを探し始めた。 そんな中、古泉はいつものニヤニヤ顔で、朝比奈さんはいつもの微笑ましい笑顔で、長門はいつもの無表情で 俺とハルヒのやり取りを見守っていた。なぜこんな状況になっているかは昨日の放課後に遡ることになる。 その日は金曜であった。俺と古泉が部室で平和にオセロをしていて、朝比奈さんがお茶を入れてて、 長門が本を読んでいて、そこに勢い良くドアを蹴飛ばして入ってくるハルヒ。いつも通りの光景である。 ハルヒ「土曜の不思議探索どうしよっか?!?」 古泉「涼宮さん、そのことなんですが、明日土曜は雨のようですよ。」 ハルヒ「え?そうなの?それは困ったわね」 正直に言おう。ここで俺はひそかに不思議探索が中止になることを祈っていた。 そりゃそうだ、月~金と学校があって土日は休むための日である。この休むはずである日に毎週俺は 労働しているわけだ。である故に、せめて雨の日くらいは家でゆっくり休みたいと思ったしだいである。 しかし、ここでハルヒは俺の期待を180度裏切る発言をするのだ ハルヒ「じゃあキョンの家に行きましょう!」 はあ??なんじゃそりゃ。休むも何もあったもんじゃない。だが、ここでハルヒに反対しても無意味だということを 俺は今までの経験で学習している。だからもはや悪あがきする気も起きない…潔くあきらめるってのは気持ちいいな。 仕方ねえ、明日も今まで同様、お前に俺の1日を捧げてやるよハルヒ そんなわけで今に至る。もちろん休日であるからみんな私服である。長門は相変わらず制服であるが。 土曜の午後、外では雨がしきりに降っている。 ハルヒ「みんな、このゲームやってみない!?」 ハルヒが手にしているのは64でオナジミの大乱闘スマッシュブラザーズである。 キョン「それはいいが、何でスマブラなんだ?」 ハルヒ「こういうみんなでバトルするゲームって盛り上がるじゃない?それにスマブラって任天堂ゲームのキャラが 勢ぞろいでしょ?一つ一つのシリーズのゲームやるより、全部のシリーズのキャラが集合って何かお得じゃない! それに私このゲーム持ってるし」 そうかそうか。ハルヒらしい考えだ、特に否定はしない。だが問題は… キョン「朝比奈さん、スマブラをやったことありますか?」 そう、問題は今までスマブラをやった経験があるかどうかなのである。初心者同士ならともかく、 ハルヒが参加するとなると未経験者は悲惨なことになるのは安易に想像できるであろう。だからといってハルヒは ハンデを受け入れるような柔和な性格でもないことを俺は知っている。長門は機械マスターであるからいいとして 問題は古泉と朝比奈さん…特に朝比奈さんは未来人である。スマブラの存在を知っているかどうか怪しい。 いや、90%を超える確率で知らないと思うが。しかし朝比奈さんは驚くべき言葉を口にした。 みくる「(小声で)ええっと…実は未来においてもスマブラは流行ってるんです」 何ですと?! みくる「(小声で)もう何本もシリーズが出てます…私の世界ではゲームの代表格的存在です。」 聞いたか任天堂社員!?お前らは数10年後の未来までも安泰だそうだ、よかったな。 キョン「(小声で)それは驚きです…しかしそんなことしゃべっていいんですか?いわゆる禁則事項ってやつでは?」 みくる「(小声で)そうですね。でも、後でこのゲームをやって私がやれたとき、キョン君は未来である程度これが 知られているということに必然的に気付くでしょう?だから黙っておく必要もないと思ったの」 キョン「(小声で)なるほど、確かにそうですね。って朝比奈さんこれやったことあるんですか!? 未来では何本かシリーズ出てるらしいですが、これは1ですよ?」 みくる「(小声で)昔のゲームも未来では新しい機械を使って…あ、これ以上は禁則事項です、すみません」 少なくとも、未来では昔のから最新までのゲームをできるような環境にあるってことか。なんとも面白そうだ。 キョン「(小声で)しかし、朝比奈さんがTVゲームをやったことがあるとは驚きです」 みくる「(小声で)ふふふ、私も子供なんだからするときだってありますよ♪」 なんだかんだで朝比奈さんは大丈夫のようだな。しかし凄い事実を知ったな…スマブラ凄いぜ。さて、次は古泉だ。 キョン「古泉、お前はやったことあるのか?」 古泉「ええ、ここに来る前は学校の友達とよくスマブラをして遊んだものです。」 キョン「お前もゲームをしてたのか。ちょっと驚きだな」 古泉「(小声で)僕だって涼宮さんに力を与えられて超能力者になるまではごく普通の学生でしたからね、当然でしょう。 といっても、今でもたまにすることはあります」 なるほどね。これで全員がスマブラをできる条件を満たしていることは確認できた。 キョン「しかしだなハルヒ、64は4人でしかできないから一人抜けないといけなくなるぞ」 ハルヒ「確かにそうね、どうしようかしら」 長門「私が抜ける」 今まで黙っていた長門が突然口を開いた。 キョン「い、いいのか長門?」 長門「いい」 そう言うと長門は本を取り出して読み始めた……確かに、機械にめちゃくちゃ強い長門のことだから やったら長門が1位になるのは間違いなさそうだ、故に長門はハルヒを気遣ってるのかもしれないな。 ハルヒ「よ~し!じゃあやるわよ!有希、後であんたにもやらせてあげるからね!」 こうして俺、古泉、朝比奈さん、そしてハルヒの4人の大乱闘が始まったのである。 設定は3分の時間制バトルということになった。どうやらハルヒは短期戦がお好みのようである。 ハルヒ「さあ、一気にあんたたちを片付けるわよ!!」 本当に片付けそうだから怖い。ってかこいつはやったことがあるらしいが、一体どれくらい強いのであろうか。 気になるところである。古泉は…たぶん弱いな、根拠は今までのあらゆるゲームにおけるこいつの連敗記録である。 朝比奈さんは…うーむ、予測がつかないな。一見あまり強そうには見えないが、 もしかしたらダークホースになる可能性も…いや、いくらなんでもそれはないか。 使うキャラは次のようになった。 ハルヒ(1P)=ドンキーコング、キョン(2P)=ルイージ、朝比奈さん(3P)=ネス、古泉(4P)=フォックス ハルヒはドンキーできたのか。パワー系で一気に片付けるってか、なるほどハルヒらしい。古泉は…まあ妥当だな。 そして俺が一番驚いたのは朝比奈さんだ。何?ネスだって!?大抵の人は彼女の使うキャラはプリンやピカチュウと 思い浮かべるはず。まあネスも子供だから彼女らしいと言えばそうかもしれないが…ファルコンとかよりはマシか。 だが問題はネスは上級者向けのキャラということである。いや、そうでもないのか? まあ何が言いたいかというと、油断はできないということである。…ハルヒは言わずもがなであるが。 え?自分?ルイージだが何か文句あるか?確かに、スマブラにおいてルイージを使うやつなんてのは あんま耳にしない。しかし自分は使いやすいんだから他人にどうこう言われる筋合いはない。 頼むぜ緑のヒゲオヤジ、お前にかかってるぞ。 試合が始まった。場所はフォックスの本拠地セクターZである。 さて、まずは様子を見るとしようか…というわけにもいかない。 ドンキーハルヒが始まって早々ルイージに突撃してきたのである!! ハルヒ「キョン!あんたは私の最初のえじきよ!光栄に思いなさい!!」 思わねーよ!ネス朝比奈はそんなハルヒを恐れたのか右端に逃げたようである。 フォックス古泉はというと、Bボタン連打でブラスターショットをピュンピュン俺とハルヒにぶつけてくる!卑怯だぞ古泉。 古泉「いつも僕はゲームであなたに連敗でしたからね。今こそその雪辱をはらすときです」 何が雪辱だ。Bボタン連打してるだけじゃねーかこの卑怯者。 そんな俺はドンキーハルヒの先制にやられ、後ろに投げられる。起き上がってハルヒに立ち向かうが、ドンキーハルヒの ↓+Bのハンドスラップで中へ浮かされてしまう!!そこに追い討ちをかけるかのように空中+前+Aのハンマーナックル がルイージに直撃する。何だこれは、ハルヒめちゃくちゃ強いじゃねーか!!!?これはやばい、頑張れヒゲオヤジ! ピュン!ピュン!ピュン!ピュン!ピュン!ピュン!ピュン!ピュン!ピュン! これは世に言うウザいというやつである。呆れたことに古泉は10秒以上もブラスターショットを 戦ってる俺達に撃ちつづけているのである。特にハルヒの被害は甚大である。 体の大きいドンキーハルヒはルイージよりも攻撃に当たりやすいからだ。 ハルヒ「チッ」 ハルヒは古泉を睨んでいる。その様子に爽やかスマイルの古泉は気付いていないようだ。 古泉よ、俺に復讐したい気持ちもわかるがそのへんにしとけ、お前の明日はないぞ。 ってそういえばネス朝比奈は何してるんだ?見ると、右端でタルを壊していた。なるほどアイテム調達か。 って今は目の前の敵に集中しなければ。ルイージは悲惨なことにドンキーハルヒの↑+Aの連続攻撃に苦しんでいた。 このまま%がたまって↑+A+スマッシュのドンキー必殺のジャンボプレスを食らえば 間違いなくヒゲオヤジは星になっちまう!!!! ピュン! ドンキー「うっ」 お!身動きの取れない俺であったが、フォックス古泉のブラスターショットによりドンキーハルヒの動きが一瞬止まった! 礼を言うぜ古泉!! ハルヒ「…」 古泉を睨むハルヒ。古泉、お前の明日はもうオシマイだ。そして動きが止まったその一瞬を俺は逃さなかった。 ルイージ「Yahoo!!」 空中左斜め上からドンキーに↓+Bでルイージサイクロンをかます!ドンキーは右斜めに吹っ飛んだ。 フォックス古泉の方向である。 ハルヒ「キョン、あんた命拾いしたわね」 そう言うと、ハルヒは攻撃対象を変えた。言わずもがな、フォックス古泉である。俺はおとなしくそれを観戦するとするよ。 ドンキーハルヒの空中+後ろ+Aのゴリラキックがフォックス古泉に炸裂する。 フォックス「うーッファイヤー!!」 負けずに↑+Bのファイヤーフォックスで抵抗する古泉。 アホかこいつは フォックス「うおおおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ」キラーン 思ったとおり、ハルヒの↑+Aの連続コンボを食らい続け とどめは↑+A+スマッシュでフォックス古泉は星になった。 さらば古泉フォーエバー♪ ファイヤーフォックスとブラスターショットを食らい続けたせいかドンキーハルヒの%がかなりたまっている。 ハルヒを仕留めるには今しかない!ドンキーに向かってダッシュするヒゲオヤジ。よし、これでハルヒを PKボム!! !? ネス「Wow!!!!!!!!」 ルイージ「あひゃひゃひゃひゃひゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」キラーン あ、ありのまま起ったことを話すぜ…ハルヒを倒そうとしたらいつのまにか俺は星になっていた。 何を言ってるのか理解できねーと思うが俺にも理解できなかった。何か、恐ろしい片鱗を味わったぜ… …つまりだ、先ほどタルを壊してスターロッドをゲットしたネス朝比奈が俺とハルヒと古泉の戦いの様子を見ていて 俺達の%がたまったところで突然俺達の目の前(右)に姿を現し↑+BのPKサンダーをつかってきたのである。 大胆すぎます朝比奈さん。一体何があなたをここまで変えたというのですか!? みくる「ゴメンねキョン君♪」 というわけで俺とハルヒはそのエジキに…ではなかった。なんとハルヒはそれを避けていた! やはりこいつ、かなりの上級者である。ってやばい、朝比奈さん逃げてええええぇぇぇぇぇぇぇ ハルヒ「いい度胸ね?みくるちゃん?私をフッ飛ばそうとするなんて♪」 ハルヒのキレ具合に急に顔が真っ青になる朝比奈さん。いかにも、私調子に乗りすぎちゃいましたって顔をしてる。 みくる「!」 ネス朝比奈は危険を感じ取ったのか、反射的に手に持っていたスターロッドをドンキーハルヒに投げつけた! しかし避けられてしまった!朝比奈さんの運命はいかに!? 蘇ったフォックス古泉は左端にあったタルを壊していた。続いて蘇った俺、ことルイージはそんな古泉へと突撃した。 そりゃそうだ、今無理にハルヒVS朝比奈さんの戦いに突っ込めばそれこそ自殺行為であろう。であるからして 対象は必然的に古泉となる。まあ俺がこいつと戦ってみたかってのもあるが。 すると突然フォックス古泉は上半身と下半身を激しく振りだしたではないか 新手のアピールのつもりか。見てるこっちは不快だぞ 古泉「ふふふ、ハンマーには勝てませんよね。痛めつけてあげます」 やめろ古泉。ただでさえ今、お前のキャラが腰を激しく振ってんだ。言動がSっぽく聞こえる そして逃げるヒゲオヤジ。くそ!もしサムスを使ってたらハンマーにも対処できたというのに ヒゲオヤジでは何も対処することができない!!今は逃げ回るしか… お、レイガン発見 一方、ネス朝比奈は案の定ドンキーハルヒに右端でボコボコにされていた。 後ろ投げ、ダイレクトスルーの連続攻撃である。これは痛い、痛すぎる。 ハルヒ「どう?みくるちゃん?これがハルヒ流ドンキー奥義よ!!」 みくる「ぴええぇぇぇぇぇん」 ゴリラにぶちのめされる少年…あまりよろしくない光景である。しかしネス朝比奈にも反撃の糸口ができた。 受身をとりドンキーハルヒのつかみを回避することに成功した。そして奇跡的に空からモンスターボールが 降ってきたではないか!ネス朝比奈はそれを手に取りボールを開く。 もしこれがイワークやカビゴンなら彼女の逆転は可能だ。さあ何が出てくるか ラッキー「ラッキー!!!!!!」 おお、なんとラッキーが現れたではないか。 ハルヒ「そうはさせないわ!!!!!!!!!」 これはラッキーだった…………ドンキーハルヒに。 やつはラッキーが生んだ卵を取ろうとするネス朝比奈に↑+Bの回転スピンで妨害し全ての卵を強奪したのだ。 そしてその卵からモンスターボールが再び現れ、ドンキーハルヒはそれを投げた。 バン!バン!バン!バン! その頃、ヒゲオヤジはレイガンで発狂したハンマーフォックス古泉を撃ちまくってた。古泉は手も足もでない。 完全に立場は逆転した。よし、このままフォックス古泉を左端までもっていけば… フォックス「うぉう!」 ルイージ「Oh!」 ネス「うわああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁん」キラーン い き な り 蜂 が と ん で き た つまりである、先ほどドンキーハルヒが出したモンスターボールからスピアーが現れたのである。 この影響でヒゲオヤジとキツネは上空へと叩きあがられ、%がたまっていたネス朝比奈は星になった。 幸いなことにまだ俺は星になるほどは吹っ飛ばなかった。まだあんま%がたまってなかったからな。 古泉も然りだ。さて、またレイガンでやつを ビュン! ルイージ「Oh!」 ビュン! ルイージ「Ah!」 !? ヒゲオヤジは左端へ吹っ飛ばされ死亡した おいアーウィン、俺に何か恨みでもあるのか? やれやれ、スピアーの次はアーウィンか。古泉との戦いに夢中で右背後にアーウィンが接近してたなんて 全然気付かなかった。俺も運が悪い フォックス「ううん…ううん…ううん…」 おいおい今度は何だ?フォックス古泉が顔を真っ赤にして両手で頭を抱えてるぞ? さっきの激しい腰振りといいお前は一体何がしたいんだ古泉 ええっと、何事かというとフォックスはさっきのアーウィンのビーム攻撃にシールドでガードをしたが故に シールドクラッシュを起こしてしまったというわけだ。 動けないフォックス古泉。よし、蘇った俺がとどめを…と思ったらそうはいかなかった。 なんといつのまにか蘇ったネス朝比奈がフォックスの前に立っているではないか。 古泉「あ、朝比奈さん一体何を…?」 みくる「ごめんね古泉君♪」 なんと、あの朝比奈さんがスマッシュバットでフォックス古泉をフッ飛ばしたではないか!!!!もちろんやつは死亡した …………なんかSな朝比奈さんが怖くなってきた。ってかさっきからとばしすぎじゃないっすか朝比奈さん!? みくる「私は面白いです♪」 おお、極上満点な笑顔!それが見られればSだろうがMだろうが俺は気にしませんとも、ええ。 古泉「チッ」 あ、朝比奈さんを睨んでやがる……そんなに悔しかったのか。復讐心丸だしの顔じゃねーか。 さて、未だにハルヒは1回も死んでいない。ということは逆に言えばやつはかなりの%がたまっているのである。 今度こそやつを仕留める!うむ、まるで織田信長になった気分だ。ってことはドンキーハルヒは今川義元か。 もっとも、この信長はすでに2回死んでるが。潔く先陣をきって今川を仕留めんとせんヒゲオヤジこと織田信長 …ん?待てよ、ルイージはどっちかっつうとヒゲナマズの石田光成に例えたほうがいいのか? とかあまりにもくだらんことを考えていた俺にスキが生じたのであろうか、 ルイージはドンキーにつかまれ、背中にのせられる。ドンキーは俺を抱えたまま移動する。 キョン「おいハルヒ!ル イージをどこへ連れていくつもりだ!?」 ハルヒ「わかってるくせにッ」 ハルヒがニヤリと返答する。 ルイージはドンキーと道連れに奈落の底へと落ちていったのであった……つまりルイージ&ドンキー死亡 なぜハルヒがこんな道連れ行為をとったか俺にはわかる。ドンキーの%が高かったことから、いつかは 吹っ飛ばされると考えていたんだろうな。そこで%を0にするためにいっそのこと道連れを図ったというわけか。 なるほどね。 その頃、左端ではネス朝比奈が蘇ったフォックス古泉の報復を受けていた…………… 古泉「…」 と思ったのだが、逆であった。なんとフォックスがネス朝比奈の↑+Aのトス連続攻撃で血祭り状態だったのである!! ここで二つわかったことがある。一つは、いくら古泉が復讐心に燃えようが本気になろうが、 所詮ゲームでは誰にも勝てないほどやつは弱いってことがな。まあ落ちこむなよ古泉。お前のその闘志は認めてやるよ 二つ目は言わずもがな、朝比奈さんはやはりSだ。Mなのは相手がハルヒのときだけだというのか……orz みくる「何か言いました?♪」 キョン「いえ、何でもありません♪」 そんなやられっぱなしのフォックス古泉が、ネス朝比奈の空中+Aの空中キックで こちらヒゲオヤジの方向へ飛ばされてきた 古泉「…」 古泉「僕に秘策があります。僕はまた今から朝比奈さんに報復しますんでどうか僕に攻撃しないでください」 キョン「古泉、お前 必 死 だなw」 ルイージ「Wahoo!」↑+A+スマッシュ バシ フォックス「うおおおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ」キラーン 古泉「………もうやだ…」 だが、休息は訪れず ハルヒ「さあ、私にひれ伏すのよ!!!」 げえ、ハルヒ!こいつスターとって無敵になってやがる。そ、そうか、さっきの朝比奈さんVS古泉の戦いに絡んでこない と思ったら、俺と道連れに死んだ後、右端でアイテムを物色してたのか。く、これ以上死ぬわけにはいかねえ まともに勝負しても勝てないだろうから俺は逃げる! うむ、見事に逃げることに成功した。その代わり、ネス朝比奈がドンキーハルヒにまたしてもボコられたが。 すまん朝比奈さん、見捨てたりして。だけどこれはゲームだし、別にいいよな? 案の定、ネスは無敵状態のドンキーにぶっ飛ばされ星になった。 と同時に3分たって、喜怒哀楽まみれたドロドロの試合は幕を閉じた………疲れた 結果はこうだ↓ 1位ドンキーハルヒ=2(倒した回数3、落下数1) 2位ネス朝比奈=0(倒した回数2、落下数2) 3位キョンルイージ=-2(倒した回数1、落下数3) 4位フォックス古泉=-3(倒した回数0、落下数3) ハルヒ「どう!これが私の偉大なる力よ!」 みくる「ふう…ハードな試合でした。でも楽しかったですよ♪」 古泉「チッ」 たったの3分ではあるが随分長かった感じがする。もう一度言うが、疲れた。 ってか何みんな本気になってんだよ。ハルヒはともかくとして、何で古泉や朝比奈さんまで本気になってんだよ!? …そういう俺も本気だったかもしれないが。おかしい、スマブラってこんなに体力使うゲームだったか? 違う!この面子だからだ! ピンポーン ハルヒ「ん?誰かしら?」 キョン「ちょっと行ってくるわ」 一体誰だ? こんな大雨の中来るなんて変人以外の何者でもないぞ? ガチャ 谷口「うぃーっす!DODODO、土曜日~だから遊びにきたぜ!」 国木田「あれ?靴がたくさんあるね。SOS団のみんなも来てるのかな?」 鶴屋「こんにちは~にょろ!休日にまで君に会えて嬉しいよお姉さんは!うんうん!」 今後、スマブラにおける地獄絵がますます加速するであろうことを察知し 俺は目の前が真っ暗になった…… Fin(第2試合へ続く…かもしれない)
https://w.atwiki.jp/haruhi_vip2/pages/1529.html
【読まれる前に】 この作品は一つのタイトルの中に、 一話完結のお話がいくつもあるような形式です。 それぞれのお話に繋がりはコレといってありません 淡々とした日常の中の寂しさみたいなものを 少しでも感じていただければ幸いです。 涼宮ハルヒの夏(00) 涼宮ハルヒと夏 雨がひさしを激しく叩く音が聞こえる。 俺は今、ハルヒと雨宿りしてるわけだが 夏に突然の通り雨なんて珍しくもなんともない。 しかしコイツと一緒ってのがひっかかるんだよな、 これもお前が望んだことなのか、ハルヒ。 「やまないわね。」 「ただの夕立だ。スグにやむだろうさ。」 「・・・だといいけど」 「・・・・・・」 しばらく沈黙が続いた。 雨は幾分小降りになってきたみたいだな 沈黙を破ったのはハルヒだ。 「キョン、あんたアスファルトの匂いって分かる?」 アスファルトの匂い? 雨上がり独特のあの匂いのことだろうか。 「・・・まぁ分からないでもないな。突然どうしたんだ?」 「別にどうしたってほどのことでもないけど、なんていうのかしら・・・ そう、夏の匂いよ。あの匂いをかぐと、『今年も夏が来た』って思うのよ。」 「・・・ふむ。 で?」 「それだけ。」 「なんだよそりゃ。」 ふと、気が付くと雨はいつの間にかあがっていた。 「雨、あがったわね。良かった」 遠くで陽炎がゆらめいているのが見える さっきまでの大雨がウソのような、雲ひとつないピーカン空。 俺の隣を歩くハルヒはなんだか上機嫌だ。 アスファルトに染み込んだ雨はやがて蒸発し、雲になる。 なんだか夏の匂いがした, ・・・気がする。 涼宮ハルヒの夏(01) 長門と夢 「なぁ長門、お前も夢って見るのか?」 「・・・なに?とつぜん。」 「いや、ちょっと気になってな。」 「・・・・・・」 「これもまた唐突なんだがな、 この世界や、ハルヒや古泉達、そしてお前の存在すらも 実は誰かの夢ってことはないか。」 「・・・・・・」 「実はこれは全部俺の夢で、本当はどこか違う世界に本当の俺が居る。 この現実はその俺が見ている夢じゃない、といいきれるか?」 「どっちが夢か、あなたには分かるの? もしその夢からあなたが目覚めたとしても、あなたの目覚めたところが現実なのか さっきまで見ていたものが夢なのかあなたには分かるの?」 「・・・わからないな。たぶん。」 「それに夢だけとは限らない、実はこの世界は何者かによって作られた仮想現実。 あなたも私もただのAIなのかもしれない。 それとも、本当のプレイヤーが別の世界にいるのかもしれない。 人はこの世界を三次元と定義しているが、それは人の勝手な定義であって実は二次元なのかもしれない。 この世界が0と1で作られている可能性だって否定できない。」 「・・・・・・」 「重要なのは何故生きるのかではなく、どのようにして生きるのか。」 「ニーチェか。」 「・・・はくしき。」 「そりゃどうも。」 ガッ!バタン!!「おっまたせー!!ってあれ?キョンと有稀、2人で何話してたの?」 「なんでもない、とりとめのない話さ。」 ・・・コクリ 涼宮ハルヒの夏(02) 朝比奈みくると蛍 「キョンくん、」 「どうしたんです、朝比奈さん。」 「実は、ききたいことがあって…」 なんだろうか、またハルヒのことか?アイツは、また何か 朝比奈さんを困らせるようなことでもしたのだろうか。 こんなことを考えていたせいで俺は、 危うく質問を聞き逃すところだった。 「蛍って何処に行けば見られるんでしょうか・・・?」 「蛍、ですか。」 蛍ってのは6月の終わりごろから 7月にかけて見られるものだろう。今はもう8月も半分終わったぐらいだから、 「朝比奈さん、残念ながら今の季節、蛍はもう見れませんよ。」 「ふぇ・・・そんな~・・・」 そう言うと今にも泣き出しそうになる朝比奈さん 「そんなに蛍が見たかったんですか?」 「・・・キョンくん、未来、つまり私が来た次元では、 蛍はもう、映像や写真でしか見ることができない生き物なの。 だから、この時間平面上にいる間にどうしても見ておきたくて・・・」 「そうだったんですか。」 なるほど、蛍はもう間もなくこの地上から消えてしまうわけだ。 蛍も、もう後何年かで見納めか。そう思うとなんだか寂しいな。 「朝比奈さん、来年は見にいきましょう。SOS団のみんなと一緒に。」 「来年ですかぁ、楽しみにしてたのになぁ・・・」 「一年なんてすぐに過ぎますよ。 もう少ししたら秋が来て、あっというまにクリスマスと大晦日が来ます。 そしたらもう春はすぐそこで、その春を追い越せば また、すぐ夏に会えますよ。その時見に行きましょう。」 今思い返すと、古泉も真っ青になりそうなクサイ言い回しをした気がする。 俺の言ったことを聞いても、 朝比奈さんはまだ少し悲しそうな顔をしていたが 何がおかしかったのか突然、ふふっと笑うと、 「そうですね。」と呟いた。 涼宮ハルヒの夏(03) 長門と海 「長門は泳がないのか?」 コクリとうなずく長門。 「私はあまり好きじゃない。あなたは?」 「俺は、海は嫌いじゃないが、泳ぐより、眺めてるほうが好きだからな。」 「そう」 そういうと長門はサッと立ち上がり 「泳ぐ」 とだけ告げて、波打ち際まで歩いていった。 やれやれ・・・相変わらず挙動が読めない。 そういえば、長門が海で本格的に泳ぐのは今回が初めてだろうか 孤島の時も本読んでばっかだったもんな。 ちゃぷ・・・ 「冷たい」 「冷たいですか?長門さん。」 コクリ・・・ 「冷たいのは最初だけですよ、慣れると水の中のほうが暖かく感じます。 まぁ僕は冷たい海のほうが好きなんですがね・・・。」 「・・・・・・」 「長門さん、たまに、こんな風に思うことはありませんか 『実はこの世界は現実ではなく、ただの夢なんじゃないか?』とね。 そして、考えてるうちに気づくんですよ。 そもそもどちらが現実でどちらが夢なのか、明確に判断することはできない、 ということにね。」 「・・・・・・」 「そんな時に海に入ると、『冷たい、ああ、いま生きているのは僕なんだな』と、 現実を再確認することができるんです、僕はね。 勿論、これはとても不確かなことです。実際にはなんの解決にもなっていない。 ただ僕はこれで安心できるんですよ、この世界が夢じゃなかった、とね。」 ちゃぷ・・・ 「長門さん・・・?」 急に影が出来たと思ったら、 長門が俺を見下ろしていた。 そして、ちょこんと俺の隣に腰を下ろす。 「なんだ、結局泳がなかったのか?」 「・・・私も眺めているほうが好き。」 「そうかい。」 涼宮ハルヒの夏(04) 古泉と針鼠 「珍しいな。長門もまだなのか、古泉」 「そうみたいですね。でも、まぁ たまには僕達2人だけ というのもいいではありませんか。」 よかねえよ。 「普段できないような話もできますし。」 コイツがこういうこと言うと疑っちまうのはなんでだろうな。 ホモだけは勘弁してくれよ古泉。 「中学生の時、ですか・・・ 言っておきますが、僕は力が発揮できる場所を限定された超能力者です。 だから、中学生の時だって今と変わらない、いたって普通の学生生活を送っていましたよ むしろ今のほうが変わった体験をしているんじゃないんじゃないでしょうか。 涼宮さんのこともありますし。あなたのほうはどうなんです?」 「俺か、俺の中学生生活も・・・まぁ似たようなもんだったな。 地元の小学校から、そのまま公立の中学校に上がって、 普通に友達と遊んだり、ちょっと背伸びして街中まで服買いに行ったり、夏には泳いで花火して。」 「中学生らしいですね」古泉は微笑みながらそう言った。 「・・・まぁそんな普通の中学生らしいことをして3年間過ごしてきたわけだ。」 「しかし、あなたのことですからそんな日常が少々退屈だったのではないですか?」 俺は思わず「なんでだよ、それを言うならハルヒだろう」 そう言いかけて、やっぱり止めた。 「そうかもな。確かに俺は変わるようで変わらない日常に、少し退屈してたかもしれない。」 いや楽しかったといえば楽しかったんだぜ? ずっとこのまま気楽な生活が続かないかなー、とか考えなかったわけでもないしな。 「人間ってのは矛盾した生き物でな、古泉。 このままの生活がずっと続けばいい、って思ってても 心のどこかでは変化を望んでるもんなのさ。」 「人間の心の矛盾、ですか。あなたの口からその言葉を聞くことになるとはね・・・」 クックと笑う古泉。なにが可笑しいんだ 「いえ、決してバカにしているわけではありませんよ。あなたの言うことはよく分かります。 ただ、あなたも分かっているなら、そろそろトゲを落としてはどうですか? ハリネズミたちのジレンマにとらわれたままでは、心に生傷が絶えませんよ。」 「・・・なんのこっちゃ。」 やれやれ、まだこないのかねハルヒの奴は。 涼宮ハルヒの夏(05) そして夏の終わり 「もう九月か・・・夏が逃げてくな・・・」 (少し離れたところで) 「ねぇキョン、今日の谷口はえらく感傷的だね」 「そーか国木田、あいつはいつもあんなもんじゃないか? ・・・・まぁ、八月も終わりだしな、 ああいう気分になるのも分からないでもないが。」 「夏が逃げる、ね」 「日差しの割りに風がある、涼しいな、今日は。」 「なんだか今日はキョンも感傷的だね。夏の終わりは人をセンチにさせるのかな?」 「人間なんて誰も似たようなもんさ。 だれだって適当に優しく、適当に嫌味で。適当に怒りっぽく、適当に涙もろい。 そして、」 「そして適当にセンチメンタルなんだね。」 「そういうことさ。 ・・・夏が逃げる、か」 「・・・」 「もうすぐ秋ね。読書に食欲、有稀にはいい季節じゃない?」 「・・・・・・」 「いい風が吹いてるわね・・・」 「・・・秋を語るには時期尚早。まだ夏は残っている」 「何か言った?」 「なにも。」 「そう。」 「そう」 〆
https://w.atwiki.jp/yuriharuhi/pages/62.html
710 名無しさん@秘密の花園 2007/11/10(土) 00 19 39 ID GYkJOveZ いつも妹(ノーマルでは弟)のように思っていて 「この子は(有希は)か弱いから、私が守ってあげなくちゃ」 とか言って可愛がっていた相手からある日突然押し倒されて・・・・ なんてシチュエーションはザラにある。 711 名無しさん@秘密の花園 2007/11/11(日) 00 47 21 ID WML6t6cg 710 なんだそのもの凄く妄想させるシチュエーションは! 712 名無しさん@秘密の花園 2007/11/11(日) 04 04 10 ID rQgdwuvb まぁ有希ハルを妄想する時に必ず通るシチュエーションだよな。 ハルヒの有希に対する溺愛ぶりは、まるで妹に対するそれだよ。 何も知らないハルヒは、自分より長門の方がか弱いんだと思い込み、だから守ってあげなきゃという使命感に燃えている。 でもいざ押し倒されてみると、圧倒的な力差と超宇宙的テクニックの前に為す術も無く、急に小動物化してしまう。 で、事が終わってから言い訳の様に ハルヒ「あたしが本気で抵抗したりしたら有希を怪我させてしまうかもでしょ!べ、べつに(ry」 有希「そう・・・」 713 名無しさん@秘密の花園 2007/11/11(日) 15 01 41 ID /XRDiFqt 「えっ?何?ちょっと有希やめなさいよ!」 「やめない」 「そんなことダメだってば!」 「でも身体は正直」 「そ、そんなことないんだから」 「ある」 「んあっ!」 722 名無しさん@秘密の花園 2007/11/12(月) 18 25 34 ID EeiKyVvu 百合も大好きなんだが、 同性異性問わずモテてモテてモテまくりで、 SOS団全員から花束でも贈られてて、 「えっ………!?(///」ってなってる超々愛されまくり 逆ハー総受けハルヒが好きなんだが そんな異端は俺一人で十分だ! ちくしょう仲間なんていらねぇぞ! さあ、みんなで今日も百合の話をしようぜ! 725 名無しさん@秘密の花園 2007/11/18(日) 19 25 28 ID n2BUGsMc 「これ」 「お花?私にくれるの?」 「そう」 「うん。ありがとう有希、団員として良い心掛けだわ」 「団員としてではない。長門有希個人として…」 「わっ!?ちょっと有希?」 「…」 ↓ 713
https://w.atwiki.jp/haruhi_vip/pages/4245.html
NG集 プロローグ 「気がついた!」 ハルヒが突然俺のネクタイを締め上げた。いつだったか似たようなシーンに遭遇した覚えがあるぞ。 「く、苦しい離せ」 「どうしてこんな簡単なことに気づかなかったのかしら!」 「何に気づいたんだ?」 「自分で宗教を作ればいいのよ!涼宮ハルヒ教よ!」 誰がお前なんか拝むんだ。古泉が喜ぶだけだろ。 「お呼びに応えて参りました。ラマ僧の古泉です」 「いえいえ、わたしが巫女としてお仕えするわ」 「……いざなぎのぅ、アッラー南無阿弥アーメン華経~」 仮説1 十年後。 「ちょっとキョン、このロウソクの明かりでわびしく仕事するのなんとかならないの」 「電気代払ってねえからしょうがないだろ」 「えーい、こうなったら株に投資よ。新聞を過去の私に送ったら値上がり銘柄が分かるわ。もうウハウハよ」 「そんなことをしたら日本経済が混乱するぞ」 「そうだわ、これをネタに資金調達できるわね。市場を大いに盛り上げる涼宮ハルヒの投信をよろしく!」 ブラックマンデー、再び。 仮説1 ── 敵の本拠地に潜入した。人影が多い。まだ武器は調達できていない。M9かMK22が必要。擬装用にダンボール箱も欲しい。誰か来る。目標を捕捉した。二十三才男性、身長体格髪の色、データと一致する。これより背後から襲う。まずい、目標がこっちにやってくる。偽装は完璧のはず。発見されたのか!? 「ロッカーの中でなにやってんだ長門」 仮説2 「おおジョン、ジョン、あんたはなぜジョンスミスなの?」 「は?何言ってんだこいつ」 「あたしのことが好きなら、あんたの親父さんを捨てて、苗字を捨てなさい。それがいやなら、あたしに愛を誓いなさい。そうしたら、あたしは涼宮家の人でなくなりましょう」 「す、すまんが、お前の気持ちには応えられないんだ」 「ひ、ひどいわひどいわっ。あたしをもてあそんだのねっ」 「あらら、女の子を泣かしちゃだめよキョンくん」 「まったく、女性を泣かせるなど火あぶりの刑に処せられるべきですよ」 「……この銀河始まって以来の、悪事」 お、おまえら……(ワナワナ)。 仮説2 「みんな、冒険の旅に出るわよ!」 「いきなり何なんだ。どこになにしに行くんだ」 「目的なんてなんでもいいわ、指輪でも聖杯でも。言っとくけど勇者はあたしだからね」 「僧侶なら僕にお任せを」 「……魔法使いなら、得意」 「じゃ、じゃあわたしは吟遊詩人で」 「ってキャラ全部埋まってんじゃん、俺はなにをすりゃいいんだ」 「あんたはただのしかばねでもやってなさい」 仮説3 「話ってハルヒのことか」 こういう内緒話はたいていハルヒの能力に関わることだが、俺はいきなり腹にボディブロウをかました。腹をおさえてうんうん唸っている俺(大)を尻目にセキュリティカードを取り上げドアを開けた。あいかわらず人を信じやすい性質だ。 俺は部屋に戻るなりハルヒに向かって叫んだ。 「ハルヒ、お前に言ってなかったことがある!」 「な、なによいきなり」 「じ、実は俺はジョンレノンなんだ!」 「バッカじゃないの、ギターかかえてイギリスに帰りなさい」 アワナホージョーハーン。 仮説3 「キョンくん、お話したいことがありますっ」 「キョンくん、わたしもお話したいことがありますっ」 「わたしはこの時代の人間ではありません」 「わたしもこの時代の人間ではないんです」 「ずっと未来から来ました」 「ずっとずっと未来から来ました」 「いいえ、わたしはそのまたずっと未来から」 「いえいえ、わたしはずっとずっとそのまたずっと」 もう二人とも未来に帰っちゃってください。 仮説3 「みんな、みくるにタイムマシンが戻ったようだから、時間を遡ってタイムマシンの破壊工作を実行するよ」 タイムマシンを使って別のタイムマシンを壊しに行くなんて、なにか間違っている気もするが。それを聞いて新川さんが真っ青な顔をして叫んだ。 「ま、待ってくれ」 「新川さん、どうしたの?」 「ダンボールだ、ダンボール箱がない。あれがないと戦えないっ」 「森軍曹、彼にちょっと眠ってもらって」 仮説3 「ここでいいよ」 俺は公園のベンチの前で別れを告げた。 「……そう。気をつけて」 「お前も元気でな」 長門は俺の目をまっすぐに見詰め、しっかりと親指を立てた。 「……I'll be back」 号泣。 仮説4 次の日、ハルヒからミーティングの召集がかかった。 「みんな、時間移動技術会議よ。キョン、記念すべき第一回なんだから居眠りなんかしてたら減俸だからね」 俺には懸念すべき、 「……誰がうまいこと言えと」 仮説4 「長門、給与明細作ってんだが、あんときのゴニョゴニョの部分を教えてくれ」 「……分かった。再生する」 『いいわ、いくらほしいの?』 『ええと、コスプレ技術者手当てとして、毎月の給与に十万円上乗せで』 『それはちょっと高いわ。じゃ、これくらいで……一日の初乗り五千円、以降三十分ごとに千円』 ってタクシーかよ!十万上乗せって未来人の金銭感覚はどうなっとるんだ。 仮説4 「東中より出ずる、やんごとなき雅な涼宮ハルヒにおじゃる。宇宙人、未来人、超能力者がおれば麿のところへ参れ。いぢゃう」 唐突になに言ってんだこいつは。 「涼宮さんはなってみたいんですよ、おじゃる丸に」 「これキョン!そちは麿のプリン食べたでおじゃろう!?」 「イタタ、杓で叩くでない。俺は食べておじゃりませぬ」 仮説4 そりゃそうと紙に書かれたもんがほとんどない。和紙みたいなごわごわした厚い紙があったが、丁寧に綴じてあった。紙がないってことは、トイレでかなり苦労するぞ。忘れてた、トイレはどこだ。 「すいません、トイレはどこでしょうか」 「はい?トイレとはなんでございましょうかミコ様」 「ええと、便所、カワヤ、いや雪隠、ええい御不浄」 「あ、バスルームのことでございますね」 って英語かい! 仮説4 ブゥードゥー伝来お寺にご参拝 鳴くよウグイスこけこっこー なんと平凡な平城京 涼宮がいい国作る鎌倉幕府 「す、涼宮さんのせいで歴史が……日本史が・……ああ」 「朝比奈さん、しっかりしてください。おい誰か救急車!」 仮説4 7年前。 「おかえり有希。内部的なエラーが頻発してたそうだな」 「……そう」 「無理なら誰かと代わってもいいんだぞ。一人娘に苦労させるつもりはない」 「……くそったれ」 「い、今なんと言ったぁああ!お前をそんな下品な子に育てた覚えはないぞ!ぺしぺしっ」 「……ごめんなさいごめんなさい」 「長門、どうしたんだ涙目になってるが」 「……あなたが、悪い」 仮説5 三人でいただきますを言って善哉を食った。餅がうまい。小豆もうまい。 「長門さん、おかわりたくさんあるからね」 「……うん」 心なしか長門の頬は緩みっぱなしなようである。長門はその後もおかわりを続けていたが、途中で顔を真っ赤にして箸が止まった。 「おい、長門どうした」 揺すってみるが目が点になったまま固まって動かない。まさか善哉がうますぎて機能不全とかじゃないだろうな。 「もしかして餅がノドに詰まったんじゃ」 「ええっ!?」 俺は長門の背中をドンドンと叩いた。 「長門、長門、しっかりするんだ」 「……ぷは」 創立総会議事録(未使用) 「ええと、株式会社SOS団の創立総会を開会したいと思います。議長はわたくしキョンでよろしいでしょうか。異論がなければ満場一致をもって、」 「裁判長、異議あり!」 裁判じゃないっての。 量子猫 吾輩は猫である。名前は呼ぶな。どこで生まれたのかとんと検討がつかぬ。 ただ、なんでも、暗いじめじめした箱の中でみゃーみゃー泣いていたことだけは記憶している。 目を開けると光の中にいた。そこがどこなのか吾輩には分からなかった。 誰かに呼ばれたような気がして、そちらに歩いていった。はて、吾輩の名前は誰も知らないはずなのだ。 吾輩は匂いをかいだ。人にしては匂いが違う。指をなめてみた。味も違う。 人の形をしたそれは吾輩に向かって「ミミ」と呼んだ。 それが吾輩の名前になった。 10年後 「なるほど。MOREってこんな雑誌だったんですか……スタイルごとにすべてキャッチがあって、洗練されていますね。まったく新世界です」 「よっ古泉じゃねえか。立ち読みか?」 「うわあ、こっこれはなんでもありません」 なんだアイツ、走って逃げやがった。 師走の朝、吐く息も白く曇る冷たい乾いた空気の中、長門が通りの向こうから歩いてきた。いつものダッフルコートを着ていない。 「おう、おはよう」 「……おはよう」 「そのコート、新しいな。買ったのか」 「……そう」 厚手のこげ茶のコートに身を包んでいた。フードはないが、生地が柔らかくて暖かそうだ。 「……」 おもむろに長門が俺の腕に寄り添った。 「……ぴと」 「なんだ?」 「……カシミヤ効果」 ハルヒのワームホール 四人は顔を突き合わせてあれやこれやと意見を出し始めた。 「これはミステリーですね。密室にあったはずの手紙はどこへ消えたのか?」 推理好きな古泉が安っぽいサスペンスドラマっぽく仕立て始めた。 「壁の向こう側から盗まれたんじゃないかしら?」 朝比奈さんが穴の奥の壁を探っていた。 「向こう側は廊下ですよ。それに穴は鉄筋で止まってますから」 「……」 長門だけはじっと考え込んでいた。 「どうした?」 「……この穴の内壁」 穴の内側をなぞっている。指先に、微妙に光を反射する粉がついていた。でこぼこを埋めたときの石膏かと思ったが、そうでもないようだ。 「……ぺろり。これは、エキゾチック物質。……うぐぐぐ」 「長門が泡吹いて倒れたぞ、おい誰か救急車!」 次回予告 「次回、涼宮ハルヒの経営Ⅱ!」 「え、次お水関係?」 「我が団には豊富な人材が揃っているわ。みくるちゃん、特注の衣装用意しといたわよ」 「こ、こんな裾の短いスカート履けません。それにこんなスケスケ!」 「では僕が着て進ぜましょう」 「あらっ似合うわよ古泉くん」 「俺は何すりゃいいんだ」 「キョンは芸がないんだから客引きでもしてなさい」 「はいっそこのお兄さん今日だけ千円ぽっきり!宇宙人未来人超能力者、いい子いるよっ」 「……シャチョサン、ビルノムカ」